HAMAKAZE jj

2018年12月21日金曜日

第18章 体構の基準(猟野系ポインタ)



 色濃く充分に立派に形造られ、大きく広く、然も釣合いが取れ、鼻口部(マズル)の線に従い、僅かに上を向く。鼻口は大きく良く開く。
(欠点)白か薄い色で、小さく切り落した様な或は貧弱な造られ方、鼻口部から下ったものや、小さな鼻孔。

鼻口部
 良く形造られ正方形をなし、下に垂れ下らず、鼻から真直に下り、転じて円滑な弧を画いて、下顎の下に下り、鼻口部の上の線と平行に延び、下面は平であるが、締り過ぎない。
(欠点)鼻口部の欠如、切り落した様な或は先の尖った鼻、だらしない外見を与える多過ぎる鼻口部、平坦でない底の線。


 大きく強く、良く配置され、綺麗に且つ均等に整列する。咬合は下顎歯の上に上顎歯が正しく接し、軽く重る。
(欠点)整列が崩れる様な混み方、又、歯と歯の間に隙間が出来る様な配置、オーバーショット、アンダーショット(即ち上顎歯が下顎歯の前に突き出たり、下顎歯が上顎歯の前に出たりする事)


 色濃く、輝きを持ち、余分な混ざりもののない事、眼瞼は眼球に密着し、大きく且つ程良い位置にあり、優しい智的な印象を与える。眼の位置で、所謂ストップ或は頭骨えの急上昇が明確であるべきです。両眼の間は軽い谷がある。
(欠点)淡い色の眼、アーモンド型の眼、豚の様な眼、垂れた眼瞼、第二眼瞼、角度の少ない或は斜の眼、ストップの欠如、印象の無さ。

頭骨
 頭骨の線は鼻口部の線と平行であるべきであり、しかも上の平面は長く、そして後頭部で軽い弧を画き、頸の線と一緒になる前に明確な終点を示すべきです。
(欠点)頭骨線と鼻口部の線が角を成したり、短か過ぎたり、或は扁平過ぎ又は高過ぎ明確な終点なく、だらだらと頸に移行する様な事。

咽頭と頸
 咽頭はすっきりとし、優雅さを示し、頸は長く弧を画き、筋肉が良く発育し、しかも円滑であるべきです。
(欠点)詰った咽頭、或は顎の下に過度に垂れた咽頭、短くずんぐりした頸、肩から持ち上りの少ない頸。


 眼の高さに位置し、頭骨に密着し、優美にしかもハウンドの様な、だらしなさが無く垂れ、軽く先が尖り、鼻口部の末端迄達し、きめ細かく、完全に毛で覆われて居り、通常きちんとした機敏な外見を持たなければならない。
(欠点)余り高過ぎたり、低すぎたり、過度に折れていたり、円過ぎたり、長過ぎ短か過ぎたりするもの。

頭部一般
 すべてを通じて上品さを示し、横からは明確な目鼻だちを示し、良い角度、心地良いバランス、躯幹に対する立派な調和を持ち、前から見ると鼻口部は頭部と明白に区別され、くさび型であってはいけない。
(欠点)グレイハウンドに見られる様なピリッとした外見、或はブルドッグ  にある様な短いずんぐりとした外見


 頸と背部にスムースに続き、優雅な角度を持ち、肩甲骨は頂上において近接し、躯幹にしっかりと着き、筋肉が良く発達し、しかもスムースな外見を持ち、前から見ると前肢の方向に平行であるべきです。
(欠点)持ち上ったり、下ったり、背線としっかり密着していない緩んだ肩甲骨、外に張り出したのや、前から見て余りに貧弱なもの、筋肉の発育の悪いもの、粗野なもの、優雅さの欠如。

前肢
 肩から真直ぐに下に延び、互に平行です。肘は優美さを現わし、スムースに胸に移行する。筋肉は良く発達しているべきで、骨は立派且つ適当であり、膝関節は円滑でパスターンは長く、前に軽い角度を持つ。すべてが躯幹と良い比率と調和を持たなければならない。
(欠点)前から見て内転、外転、粗野な増大した膝関節、骨の大き過ぎ、小さ過ぎ、緩い或は曲った肘関節、パスターンの短か過ぎ、或は真直ぐなもの、脚が長過ぎ或は良くある短か過ぎるもの。

胸部
 胸は大きく、澱みなく、身体のすべての部分に円滑に移行する。肋骨は平に良くしない、長く深く、胸はまろやかに肘関節より心持ち下迄そして前方は前肢の所迄良く発達すべきです。胸廓は広く、樽形に良く発育し、犬で最も良く目立つ所です。そして優雅に後方にのび、腹腔に巻き上る。
(欠点)浅い胸、ひょろ長い胸、狭い、短い、粗末な胸、過度に広く、小さく尖った胸、不規則な胸底、前が陥んだ胸。

背部
 強く、筋肉が良く発達し、体の他の部と円滑にそしてきっちりと結び付き、適度の長さを持ち、肩から出発し、ひじ迄傾斜をつける。但しそれは明確な弧であって尾のつけ根迄続き、しかも過度であってはいけない。背部は又広く強い力を示し、調和と優美さを与える。
(欠点)平な背、狭い弱い貧弱な発育、下った臀、極端な弧、前方の貧弱な取りつけ方、短か過ぎ又良くある長過ぎ、腰部や股関節を越した背骨の出っぱり。

後脚
 強く、角度と走力を示し、体の後部と密接に結びつく。腿は真直ぐ下り、後膝関節において相当な角度で後に曲り、飛節において再び真直ぐとなる。 後から見ると腿と後膝関節は一寸外に曲り飛節と共に真直ぐ下りる。骨は立派で且つ適切であり、関節はスムースで長径は長く、但し過度でなく、  良い比率と調和を持たなければならない。
(欠点)発育の不全、角度の欠如、粗野な或は優美さの欠如、粗末な関節と骨、後から見て過度の屈曲、或は優美さの欠如、最も良くありそうな牛の飛節、或は飛節の内曲り、長過ぎたり又良くある短か過ぎ。


 高く挙り、動作中も高く保持し、活気を持ち、背線より高く、根本はしっかりと、然も立派な先端に向って次第に細くなる。長さは大約飛節に達し、真直ぐで強い。
(欠点)低い尾、活気の欠如、短か過ぎたり、良くある長過ぎ、粗末な気力の無さ、長過ぎたり粗末な毛、鍵の様に曲ったり又その他真直ぐでないもの、しかしポイントに際して前方えの多少の曲りは別に異議を立てる事は  ない。


 前及後足は大きくしかも可成りしっかりと形成され、指は長く、程良い角度と弧を画き、二本の中指ははっきりと前方を向き、かがとは厚くしかも柔軟で、爪は良く発育しているべきです。
(欠点)詰まり過ぎたり猫足(詰った円い足)緩過ぎたり指が開いたり、弧の欠如或は平な足、鍵の様に曲った指、指の間の毛の不足、貧弱なかがと、扁平足(それは異常に平になったり開ろがったりしたもの)

毛皮
 立派なきめ、そしてどっしりとしかもさっぱりとこぎれいで外見輝きを持つべきだ。
(欠点)ハウンドの毛皮、粗野なもの、末端におけるみすぼらしさ、輝きの欠如。


 承認されているのは白を基本としてリバー、オレンジ、レモン或は黒である。しかし遺伝的な優性は白です。色のついている区域は明確で且つ密であり、若し黒なら漆黒、リバーなら深く濃いチョコレート褐色、オレンジなら深い濃いオレンジです。黒斑のポインタは鼻とか指の爪とか蹠(足裏)に黒い点を持つべきだ。リバー斑の犬は濃い眼を持ち濃いリバー点を持つ  べきで、オレンジ斑の犬は濃い眼を持ち濃いオレンジ点を有すべきです。
(欠点)過剰な斑点、過剰な小斑、洗いざらした様なリバー又はオレンジ、薄い或は軽い色斑、風変りな或は魅力の無い斑点、例えば目の囲りの小さい小斑、まだら等。

足どり
 スムースで優雅然も偉大なスプリングと推進力を持って力強く、物凄い活気と美しいスタイル、頭と尾を高く挙げて走り、尾は終始変らぬ動きを持ち、すべてのジャンプに心地良くムチ打ち、常に背線の上にあり、歩幅は長く、偉大なスピードでグランドを走る。走行やトロットの時は動きは平であり、全力での走行の時は犬は高級な姿勢と、崇高さを持つべきであり、しかも尚地表に密着し、所謂突進とか疾駆力と称する言葉を得られる様でなければならない。
(欠点)過度の労作、過度の上下、揺りイスの様な動作、スピードの不足、スタイルの欠如、低い尾、ものうげな尾、低い頭、ものうげな大股な走り方。

一般的な外見
 上記のすべての性質は良く結びついておらなければならず、結果において優雅で、比率が取れ、見る目が快く、適切に調和が取れているべきであり、サイズは過度でない限り余り重要でない。
牡犬で大体23kg~27kgの間であれば適当です。大きな犬は彼が優雅で足どりが軽い限り、すてられるべきでない。サイズを無視して、彼は完璧な統一と一緒になった優雅さと、性格を示すべきです。彼の筋肉は良く発育しているべきで、且つ多くの洗練と造作とそして調整を示すべきである。
(欠点)バランスの欠如、統一の欠如、大き過ぎ小さ過ぎ、離れ離れの外見、優雅さと美しさの欠如。

2018年12月20日木曜日

第17章 体 構


 犬について体構と言う言葉は彼等の外観、即ち身体的の構成を現わしている。すべての身体的な特徴が、彼の体構を作り、そして外観を作る。その犬の目の色から始って尾の形に至る迄のすべてのものを含む犬の特徴は遺伝的なものです。このように体構の問題は、作出の一つの課題に絞られて来る。私達は、食餌と飼育のコンディションは、犬を適切に発育させるのに妥当なものであると想定したが、犬の体構は全く彼の遺伝に基くものです。かなり純粋な系統の場合、或る体構的な性質が同じ犬種の中での他の系統に対し特色となっているように思える。或る時にはこの性質は良いものであり、時にはいけないものもある。標準を打ち樹てる場合、何時の世のブリーダーでも何を求め、何の特徴或は欠陥を、彼の系統から取り除なければならないかを正確に知るべきです。

 標準というものは、多くのブリーダーの結果が密接に似ているように統一されなくてはならない。このことは系統外との交配(異種交配)の際に特に望ましい事です。不幸にも、猟野系の犬のブリーダーは、公認された体構の標準を樹立していない。ベンチ系の犬の作出においては大変詳しい標準を持っているが、これは何故かと言うに、それが彼等の唯一の作出プログラムだからです。彼等によって作出された犬は、品評会において、この標準の上に立って審査される。

 あなたは多分「よしよし、私は猟に使う犬が欲しいので、特別に犬の外観等は気にしない」と言うだろう。それに対する私の答えの第一番目のものは、あなたの犬は、あなたが彼に要求する多くの事柄を為すような身体的な可能性を持つために、立派な標準を作らなければならないということです。例えばあなたは多分犬に持久力を期待し、1日に何時間も更に引続いて何日も猟をするよう期待するだろう。この為には、彼の体は正しく構成されておらなければならない。

 あなたは多分、彼に速く、円滑な、素晴らしい走法を期待するだろう。繰り返すが、その為には、彼は正しく作り上げられておらなければならない。あなたは彼に何年もの間、猟をしてくれる事を希望するだろう。もし後のあしのうらや脚、そして躯幹が適切に形造られておったら、彼はこの期待を満たしてくれるに違いない。

 何故犬が立派な外見を持たなければならぬかという第2の理由は、単にそのような犬を所有することの真の誇りと楽しみの為です。私の知っている殆んどの狩猟家は、猟犬は如何なる外見をしておらなければならぬかという点に関し、大変立派な意見を持っているし、彼等はそのような犬を一目見ただけで素速く認める事が出来る。そのような立派な体構の犬を見守る事によって大変な喜びを得るのみでなく、そのような素晴らしい犬を所有する事で、あなたの自尊心をも大変満されるに違いない。

 又記憶しておいて欲しいのは普通の外見の犬も、立派な外見の犬と同じように食物を食べるということです。美しい犬は馬鹿だと言う、犬についてのナンセンスを信じてはいけない。それは犬においても、人におけると同様真実ではない。ブリーダーは犬の外観を軽視することなく、立派なフィールドの演技犬を作出するよう努力しなくてはならない。私達が似前に論じたように、ベンチ系のブリーダーは殆んど完璧に体構についての作出を為している。

 これに反して、フィールド系のブリーダーは体構について決して十分な考えを持たずに作出して来た。このような方法による両グループの何年かの作出の結果は、全く異なったタイプの犬達を作る結果となり、これは殊にポインタやセタにおいて著しい。

 ベンチ系の犬のブリーダーによって用いられていた標準の正確さについては、疑問があるように思える。このような標準に、何年もの間従う事によって生れた犬達は、猟野において立派な体の体構を生み出すようには思えない。私自身の観察によれば、ベンチ系の犬はフィールド系の犬の持つ走法の円滑さと、スピードを欠いているようです。彼等は通常無器用で、優美さが無い。又普通に言われている底力や持久力が欠如している。

 この一部は人間の態度や気持の結果ではあるが、やはりそれは身体的な基本を持っていない為です。繰り返すが、走る力と持久力を決定するのは、身体的な構造即ち肺活量、しょ、脚、そして背骨の構造等です。貧しい体構の要素が、猟欲に対する完全な無関心と一緒になって猟野の仕事にあまり適さない犬の系統を作り出す結果となったのです。

 単一な体構の目的だけの作出は、以下に載せたロンドンサンデータイムズ1964年2月9日号の前の方の頁にある「ケンネルクラブヘの警告」と題して、アントニイ・カウディ氏が書いた記事の抜粋により明かに立証されたように、厳しく訂正された基準が必要です。

 “100以上の作出団体は、ショーの基準に要求された「立派な線」に達す為に行なわれた、雑然としたインブリードに起因する登録犬における、たくさんのそして痛烈な奇形を、間もなく公にみせつけられるであろう。”

 ”永年に渉り、外科医と猟野系の作出者の圧力を受けた後、ケンネルクラブはその加入団体に対し、この問題についての徹底的な調査の結果を与える五つのパンフレットを配布させるのに同意した。彼等は最も拡がり、そして痛烈な状態の五つを扱い、それ等が最も普及している犬種の名を挙げるだろう。”

 “クラブが、営利上の作出に対して取締りを行なう事によって、幾つかの一般的な作出団体に対して解散するよう忠告をなすべく期待されている。”

 “パンフレットに含まれている英国家畜用小動物協会の調査レポートは、100人の獣医が6ヵ月に渉って120種の品種を調べた中で、僅か17種のみが、遺伝的な欠陥から無事であった事を示している。20以上の種類が実際的 に軽微な奇形を持っており、残りは全部が相当ひどい欠陥を持っていた。”
 
 報告されている障害の中には「軟口蓋の延長」が含まれているが、口蓋の縮小を調整することをしない選択作出によって、犬の頭蓋は短くなって来ており、それによって咽頭が妨げられることになり易い。他の障害は眼瞼の内反(主に中国犬、スパニールやゴールデンレトリバーに顕われる)、膝蓋骨の移動(小型や愛玩用のプードル、ヨークシェアテリヤ、グリフォン)、股関節発育不全(セパードの一種のアルセイシア、ラブラドール、ボクサー)、進行性網膜萎縮或は進行性の盲(愛玩用のプードル、ラブラドール)等です。私はこれと同じような基礎的条件が、我が国のベンチショーの標準に存在し、一般的な作出プログラムは全く同じであるか、或は殆んど似たようなものであると思う。

 同じような理由で、フィールド系の犬の多くのブリーダー達も、お互に異なった方向にあまりに遠く行き過ぎている。彼等はそれぞれ自分の作出目標の或る性能に専念し他のもの例えば外観のようなものは完全に無視している。殆んどのフィールド系の犬達が、身体的にうまく造られているにしても、スピードとか優美さとか、持久力等が考えられる限りにおいて、彼等は如何なる体構の基準にも合致していないのです。彼等は猟欲、ポイント、鼻、そして決断力等に注目し、シューティングドックとしての自然の才能を保存している。

 しかし彼等は一般的な外観の性質を明かに欠いている。二重の犬即ち品評会と猟野競技会の両方に適することが出来るような系統を作ろうと試みるブリーダーもある。何人かの人がかつて成功したことがあるが、ここ30年か40年の間には、私の知っている限りの中ではいない。その理由として、二つの目的は何時も遙かに離れてのびて行くように思われ、何れのグループも、他の目的と喜んで妥協しようとしないからです。いわゆる品種のスタイルチェンジと言われるもの、或は円満な作出プログラム無しに特殊な目的にのみ作出した一つの例がアイリッシュセターです。昔、この犬種は大変有益なシューティングドックであった。しかし、その最も立派な性質、即ち美しい赤い毛皮が明かに滅亡に陥れたものです。

 ブリーダー達は、あまりに犬の外見である皮とか毛とか色とかを美しくする事に熱中した結果、良い鳥猟犬を構成する他の性能を全くなおざりに付したのです。ブリーダー達のこの盲目的な追求の結果、今日ではアイリッシュセタは猟に用いたり、猟野競技に用いるにはあまりにお粗末なものとなってしまった。

 私はアイリッシュセタの猟能を回復させようとしている多くのブリーダー達の、気高い努力に対し感服している。それは仲々うまくいっているように思えるが、これ程の打撃が徒に加えられたということは確かに恥辱だと思う。フィールド系のポインタやセタの多くのブリーダーは、レンジとか、判断力とか、自主性等に関して、気まぐれな、一時的なスタイルチェンジに悩んでいるように思える。これらのものは勿論重要な性能には違いないが、他のものを犠牲にしてもと考えるべきではない。私は如何なる特別の性能も強調し過ぎてはいけないと信じている。今日或るブリーダーは、犬が極端なレンジを持たない限り満足しない。フィールド・トライアルの一例として、レンジは他の重要な性能を犠牲にしてまで、過大な評価を与えられている。これは明かに道楽的なものであるが、もしこのようなことが、一般的にブリーダーにより行なわれた場合、この犬種が受ける打撃について考えて見てください。

 一つの要素或は二・三の要素のみの為に他のすべての重要な事柄を無視した作出は、近視眼的な近付き方だと思う。犬のブリーダー達は現存しているが、それは或る場合は数百年も古い犬種の年令から比較すると短いものです。この犬種は私達の世代の楽しい猟野を通り過した後も尚、綿々として続いてゆくのであろう。従って今日における犬の作出者は、先の世代の作出者から手渡され、それを私達は順次に次の世代に手渡してゆく、単に当世における犬種の管理者です。私達は一緒に、この非常に有益な世襲財産についての注意と、保護と、保存とを、私達の生涯の間委託されている。このような考えを心の中に持った時、私達は果して自信を持っているだろうか。又、本質的なチェンジや、又、与えられた如何なる品種を変更するにしても、遺伝的に正しいであろうか。私達が加える如何なる変更でも、その品種にとって最高の有益さを持たなければならず、気まぐれや一時的な、或はスタイルチェンジであってはならないと思う。

 私達は近視眼的な作出によって、犬の品種が僅か数代の間に可成り変更されるのを見たことがある。その結果時によると、永い年代の間の多くのブリーダー達の莫大な仕事を、僅か数年で恐ろしい迄も破壊してしまうことがある。今日発展している犬の系統は永年に渉って一段、又一段と、その権勢をきずき上げて来たものであることを記億しなければならない。猟野系の犬の作出においては幸福な妥協点がある。素晴しい性能のすべてが、良い外観の犬を産出する際、保存され立証されていけない理由は何も無い。これには明かに更に多くの選択を要し、又問題を複雑にするけれども、それでも尚可能です。私が見た或る血統の牝と牡とは、その子孫に大変望ましい外観を残すのを常としている。もし、長期に渉る選択作出計画が行なわれたら、これは不必要なことです。

 猟野における演技の基準と一緒に、体構の基準も又適用され、敬虔に従わなければならないということをお奨めしたい。私達は猟野における基準は如何にあるべきかは知っている。それは私達が今迄既に論じて来たすべての性能を含まなければならず、性質、鼻、ポイント、決断力、走法、スタイル、性癖、猟欲、智力そして持久力等の自然の気質を取り扱うべきです。エルフュー犬舎では私達の作出の仕事を簡単にする為に、個々の犬の体構と演技の両方を数字で評価出来るように、評価表を用いている。実際上の交配は、その当座において個々の人々が、それぞれ犬達について評価した上での事であるにしても、これらの評価表は過去に行なわれた交配の結果の永久のレコードであり、このようにして将来の作出についても大変有益な案内を提供する事になる。完全なポインタを形造ると思われる身体的な性質を紙の上に書き現わすことは、丁度美しい顔の身体的な構造を記述する事が出来ないと同じように不可能であろう。

 一般的な場合、犬が持っている持久力の総計のもととなる身体的な性質は何であるかを私達は知っていると私は考えるが、私はそれが正しいと過信はしていない。何が犬に円滑な走法をもたらすかを私達は知っているけれども、簡単に述べる事が出来るもの以外に、尚多くのものがあるような気がしてならない。如何なる事があるにせよ、次の章における私の記述や大約の基準は、真偽の程は分らないにしても、私達が用いているものである。これによって一般に形造られるポインタを作る事により私達は満足している。




2018年12月19日水曜日

米系と英系  

フィールド系でも、様々なポインタ。

第16章 シューティングドックの作出


 自分は鳥猟犬の作出には、あまり関心は無いのだとあなた方は考えているかもしれないが、あなたにとって大切な事は、あなたが購入した仔犬は良い系統であり、或る日多分あなたは、犬を作出しようと決心するだろうことを私は知っているのです。何れにせよ、私はこの章で鳥猟犬の作出に有益であると思われる知識を述べてみよう。実際に立派な鳥猟犬のすべての望ましい才能は遺伝的のものです。これは又、望ましくないそれについても真実です。遺伝的でない性格は環境とか人為的なものの結果です。眼の色、鼻、毛、皮膚等のような形態の特質は、骨格とか歯の形等と共に遺伝的な素質です。

2018年12月18日火曜日

第15章 プロの訓練


 全般的に言ってプロの訓練者は大変重要な人々のグループです。彼等の間には他のいくつかの社会に見出されるような親愛の情がある。そして、その各人は犬を散歩させ、チャンピオンシップのフィールドにおける完全な演技犬という通常の決勝点に向かって努力を捧げている。私が知り合いになった殆んどの訓練者は、フィールドにおける成功によって、犬の訓練よりも多くの経済的の報酬を獲得している。その代りに、彼等は、スポーツと犬と戸外運動に対する尽きることのない愛情を、人生における唯一の道に捧げることを余儀なくされている。そして無視する事の出来ない事実として、素晴しい訓練者の背後には、協力と理解と忍耐とで、彼の経歴を成功させるのを援助した奥さんが、例外なくいることです。あなたの犬をプロトレーナーの所で訓練したらよいか否かを定めるのは私ではない。これはあなたが犬から何を期待し、どれ程の時間と金を、この最終産物の為に費すか、という質問なのです。すべての鳥猟犬飼育者にとって、プロトレーナーに依頼することなしに、素晴しい結果に到達することは可能である(勿論それを正しく行なった場合ですが)。

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