HAMAKAZE jj: 【鳥猟犬の作り方】訓練の計画を立てる。

2019年1月25日金曜日

【鳥猟犬の作り方】訓練の計画を立てる。

セブンは生まれて4ヶ月でウチに来ました。
ワクチン接種は犬舎の方で、生3ヶ月目に済ませたようです。
その後すぐに鼻入れの儀式。
クレー射撃場にてトラップシューターがドカドカ撃ってる轟音の中で、ウズラを一度噛んでいるとのことでした。
早速貰ってきた翌日に、山へ連れていき様子を見ました。

 

初日の晩は、キャンキャン夜泣きが酷くてとても寂しいようでしたから、今日は一緒に山を歩いて、猟のバディとしての絆を作ります。

セブンは最初から前を歩くし呼べば寄ってくる。猪の足の臭いにも興味津々です。
これならすぐに鳥を追うようになるので、フラッシュポイントまでの大凡の訓練計画をたてました。

猟犬は鳥に当て続ければ、自然にポイントするようになるし、走るようにもなります。
ですが、なるべく効率よく短期間に必要とする能力を伸ばす必要があります。
持って生まれた素質を見極めて、この子が理想とする猟犬に育つように登りやすい階段を作る必要があるのです。

とにかくビビリで敏感なセブン。
これからどのように訓練して満足できる猟犬にするのか、試行錯誤の始まりです。

wing&shotにあるように最初の1週間が大切です。
https://hamakaze360.blogspot.com/2018/12/blog-post_81.html


僕は鳥に強い実猟犬が好きです。

目指すのは『鳥にメチャ強い実猟犬』です。
実猟犬はハンターの実力に大きく左右されると言われています。
いまさら僕の狩猟のセンスとか、技量をどうこう言っても遅いですが、”一頭の犬が狩猟のすべてを教えてくれる”ってのが持論ですから、これを信じて一緒に成長していこうと思います。

次の犬が来ただけの段階で、計画を立ようとしても難しいですが、自分の猟場と狩猟のスタイルを見返して、これからの方向性だけはキッチリ付けておくことが大切です。

E'ポインターは、広大なフィールドを速く広く捜索する猟犬なので、鳥に当たらなければ、ただ全力で走るだけの犬になってしまいます。
鳥を扱うのは、犬が自分で学ばなければならないので、うずらや鳩だけに当てていては、逃避行動に秀でた野生の日本雉をポイントさせて獲ることは出来ません。

この部分が未熟な犬は、鳥の匂いがあると直接接近してしまって、ポイントする前に飛び立たれてしまいます。

手練の実猟犬を見ているとわかりますが、難しい日本雉にポイントして抑え込むには、指示犬独特の動きをします。
鳥の近くを通り過ぎたり、それを中心に回ったりして陽動をかけながら慎重に接近する必要があるのです。
慎重に間合いを詰めて、そこで居定めるポイントをするには、やはり犬が自分で鳥を学び、環境に応じて数種類の技を繰り出す必要があるのです。

鳥に強い鳥猟犬を作るのなら、それに近づくように手順を考えるべきです。
セブンの場合は、鳥を上手に扱えるようになるまではバードワークを徹底して、段階を踏んで教えました。

訓練の行き詰まり

立派な師匠が居て、なんでも相談に乗ってくれれば良いのですが、そうは行かない場合がほとんどです。
僕の師匠は相談すると、そんなのお前は分かってることだから、自分で考えろー的なことしか言わないですが、訓練の壁にあたった時など、行き当たりばったりの訓練は犬を壊すだけです。
彼が私に細かく教えないのは信用している証拠だと思いますが…

満足な手立てが見つからない場合は、SNSを利用してでも様々な先輩方の考え方を学ぶ必要があります。
その犬の血統とか個体差もありますが、犬が喜んで良い仕事をしていれば、良い指導者と言えると思います。


まずは養殖ウズラに当てる。

セブンは済んでることですが、一応書いておきます。

鳥猟犬なので、当たり前ですが、鳥はとても興味深くて楽しいものだと教えます。
最初はかごの中のウズラを見させて様子を見ます、最初は匂いを嗅いだりして興味津々です。

次は、うずらの羽を切るなり、長めのリボンを付けて遠くに飛べないようにして浅い草むらに隠します。
犬が近づくと飛び上がって逃げるので、犬はびっくりしたり後ずさりしてしまいますが、やがて追いかけたり戯れて咥えたりするので心配ありません。
鳥に興味を示して、玩具同様に楽しいものだと思えば終了です。
時間にして30分も掛からないかもしれません。
うずらだけに反応する犬を作るのではないので、1回で十分です。
何回もやると自然鳥を追わなくなります。

この時に注意することは、ウズラを殺してしまってもバリバリ音を立てて食べても、主人は決して可愛そうだとか酷いことをしたと思ってはいけないことです。
信じられないことですが、仔犬は主人の心の機微に敏感に反応し、主人の喜ぶことをして嫌がることは嫌います。

この失敗は、仔犬の本能の開花に大きく影響してしまいます。
今後、初めて鳥を撃ち落としたり、初めて鳥を咥えたときも同じです。

自信が無いのなら、他の人に任せたほうが良いです。


次はコジュケイに当てる

協調性

猟野訓練で身につけます。
ポインターは走るのが大好きですが、それを自覚する前になるべく見通しの悪いフィールドで協調性を養います。

日本の里山は見通しが悪いところばかりなので、犬がハンターを常に意識して狩りをする必要があります。

犬が視界から消えて勝手に狩るようなら、こちらがヤブに隠れて犬に探させるようにします。
すると仔犬は、主人が消えると必死に主人を探して右往左往します。物陰から様子を窺うと、本当に困っている様子がとても可愛いです。

散々困ったところで、自分が風上に回って鼻で主人を探させ見つけてもらいます。
あの手この手を使って、この時期にしっかり協調性を養います。

ポイント能の開花

ゲームはコジュケイです。
仔犬でも比較的ポイントに持ち込みやすいので最適と考えています。
最初はコジュケイの集団に突撃しちゃいます。
すると、ドカンと群れが飛び出してとても楽しいようです。

コジュケイに突撃するってことは、目では無く鼻を使ってる証拠ですから、とても良い傾向です。
仔犬の頃はとにかく鼻を使うように、見通しの悪いところで訓練することを心がけました。



連休などを利用してコジュケイの付き場に連れていき、連続して当てましょう。
ハンターとしての技量が試されるところです。
仔犬はあまり長い間活動できないですから、短い時間で休憩を挟みながら連続して当てる必要があります。

数回コジュケイを蹴り出すうちに、時間は短いですがポイント(フラッシュポイント)するようになります。

この頃は、犬に鈴を付けていれば鈴の音が止まった瞬間、羽音と共にコジュケイが飛び出すので、撃ち落とすのも簡単です。
半矢で逃げるゲームを噛ませてやるのも本能の開花を加速させることになります。

コジュケイの群鳥を出したら、残臭を嗅がせる癖をつけることで、鳥に興奮して後追いすることを防止します。
上手に癖が付けば群鳥捌きに繋がるので、徹底させました。

これには、べた付く癖がつくなどの賛否がありますが、僕は犬が鳥に興奮して走り回りその場を荒らし回るよりは、残臭を嗅いで、鳥が残っているかいないかの判断を促すほうが良いと考えてます。

コジュケイが居ない地域の人は、養殖うずらを直接河川敷などに放鳥して当てに行けば良いです。
うずらの手配は、生産者にお願いして卵を産まなくなったうずらを格安で飼ってきます。

スーパーで売ってるうずらの卵のパックの裏を見ると、その名前と住所があるので連絡をして交渉してみましょう。


GOとコイを教える

訓練は習慣の固定です。
犬がハンターの進む先に走り出したら”GO”と言います。
GOと行って先に走って行くと、しばらくして帰ってきますので、こっちに走ってきて聞こえる距離で”コイ”って言います。

犬が走ってきて追いつく前に、自分は向きを変えて反対の方向に歩き出します。自分を通り越したら”GO"と言います。
こんな感じで、自分に向かってきたら”コイ”を言って、離れていく時は"GO"といいます。

すぐに覚えるので、自分が隠れて”コイ”を言って探させたり”GO"と言って走って行ったら、自分は横道に入って歩いたりして少しずつ難しくしていきます。

この最初の訓練の過程でハンターが方向を示した先を狩らせるようにします。
最初は歩く進行方向に片手を伸ばすだけです。
進む方向に片手を上げて歩きます。

ハンターの進む先を狩るのは本能です。進む先を狩れば鳥に当たる。
狩ってるんだからいつかは鳥に当たりますが、もう少し明確に指示した先を狩らせて、鳥に当たる確率を上げていきましょう。

やり方は簡単です。
犬を呼んで、コジュケイが潜みそうなポイントを指差して2・3歩自分が歩き出せば、犬は前を狩ろうとしますから入っていきます。
入って行く時に”GO"と言います。

一度でもそこから鳥が出れば、次は入っていきます。
数回鳥が出なくても、稀に鳥が出ることで素直に示した先を狩るようになります。



フラッシュポイントができたら雉に当てる

鼻を使って捜索して、鳥を何度も蹴り出すようになると、盛大に臭がってから、一度止まった次に鳥を蹴り出すようになります。
これがプラッシュポイントです。

この行動が出るようになったら、雉に当てても良いと思います。



早めに、狩る対象のゲームは、複数いることを教えた方が良いと考えるからです。
匂いを覚えるには、獲ってきた雉を噛ませるのが早いですが、無くても大丈夫。

最初は、ただ臭がって不用意に雉に近寄って行くだけですが、眼の前から大きな音で飛び立つ雉に、すぐに興味を示すようになります。
河川敷などの平場の雉あては、犬が捜索しているの様子が見えるのでとても面白いです。
スタンチなポイントを見せるようになるのも雉の付き場です。

この頃になると、鳥に当てる度にポイントに持ち込むのが上手になり、僕の予想を上回る成長をしていきました。
今日は雉の付き場に行ったら、明日はコジュケイの付き場に行くなど、交互に鳥に当てていきます。

雉の付き場でも、なるべく犬を走らせないで、ハンターの目の前で仕事をするよう工夫をしました。


気をつけること

訓練を始めたら、一息に仕上げるつもりで継続する。

鳥に当てるのは早ければ早いほうが良いです。
最初のワクチンが済んで、3日もしたら鳥に当てても良いです。
フィールドで自然鳥を相手に訓練を始めたら、なるべく頻繁に鳥の付き場に連れていきましょう。
最低でも週2回、できれば毎日、自分が満足できる仕事を犬がするまでは、鳥に当て続けることが必要です。

ウチの場合は犬が衰えるまで一生続けます。


フィールドで犬を叱らない。

最初は、こちらが思う仕事ができずに満足にできないことばかりです。
鳥に興味を示さなかったり、呼んでも来ない、落ちている動物の糞を食べたり、遊び始めたりして、主人の気持ちを逆撫ですることばかりです。

フィールドは楽しいところですから、物の分別が分かるまではきつく叱ることは避けたほうがいいでしょう。
まして、付き合い始めたばかりの仔犬と主人の関係は、勘違いの連続なので、褒めることは構わないですが、叱る時は慎重にしたほうがいいのかもしれません。

叱るなら、家庭訓練でしっかり叱り、フィールドでは犬がやりたいことをさせたほうが猟付きはいいように思います。
仕事の分別がついていて、鳥に連続で当ったり、銃声などで興奮しすぎてパニくってる時などは嗜めたりしますが、その程度です。


猟をしない猟犬は悲劇。

ペットとして飼うなら猟犬はいらない。
先人たちの血に滲む選択努力の結果が今の鳥猟犬です。
眼の前の猟犬は、数え切れない悲しい淘汰の結果の産物です。

素人がやる犬の訓練は1年から2年程度の時間が手が掛かるものですから、犬の訓練期間は、他の用事は後回しぐらいの心構えが必要です。
僕は朝速く起きるのが毎日の目標でした。


犬の猟芸は一生成長する

ここでは、仔犬から訓練を始めたことを書きました。
しかし、犬の猟芸は一生成長するので、保護犬や今までペットだった犬に訓練を始めても有効です。

実際に5歳から訓練を始めて、8歳でFT(全英神奈川)で優勝する犬もいます。
このモネちゃんがそれ。





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