著者紹介
ロバート・G・ホイール氏は、ニューヨーク州スコッツビルに住むエルフュー犬舎の所有者であり、経営者である。
彼は猟犬の訓練・作出に生涯の大部分を費やした。エルフュー・ポインターと共に猟をし、フィールド・トライアルにおいて、実際にエルフュー・ポインターをハンドルし、審査をして来られた。そして、1936年からシューティングドックの作出に着手され、20年以上に渡る血のにじむような努力研究の結果、今日のエルフューケンネルを築きあげました。
彼の主な輝かしい功績は、数多くのナショナルチャンピオンを作出し、1974年に殿堂入し、1991年にエルヒュー・ダンシング・ジプシーでトップ・シューティング・ドッグ・アワードを獲得・1995年エルヒュー・スネークフットでトップ・シューティング・ドッグ・アワードを獲得・1999年エルヒュー・ラジテーターがトップ・シューティング・ドッグ・アワードを獲得・2005年スネークフットが殿堂入りと言う輝かしい功績を残しました。
1964年ストレスのかからない訓練についての著書・ウイング・アンド・ショットを出版し40年以上たっても現在第6刷でベストセラーの地位を獲得しています。
Introduction (まえがき)
北部は丁度秋である。太陽は霧を吹き散らそうとし、日光は華やかに色付いたブナやモミヂを通して、森全体に虹色の、又、柔かいコハク色の輝きを与えている。空気は澄み、松やツガの香りが微かに漂っている。時々カサカサと音を立てる木の葉や、間もなく訪れる冬の貯えに働いているリスの一家族がさえずるほかは、全く静寂そのものであり平和である。
あなたは倒れた丸太の上に座り、あなたの友である犬を眺め乍ら、今年の狩猟シーズン初めて手にしたパートリッヂを賞でている。運搬して来た犬の心は誇らしさで一杯で、あなたの傍らに座っている。
或はあなたは南部で快適に歩を進める馬の背に跨がり、松の林やオークの灌木や綿畑を通り抜けているかも知れない。あなたは既に犬に後付けをさせている。一日の猟は終わったからだ、空気は田舎や山芋の甘ったるい香りを微かに運び、あなたは過ぎ去った時間に思いを馳せ、沈みかけた太陽が長い影をひかせるにつれて、柔かく並んでいる丘のあちこちから、聞き馴れたボーブホワイト・ボーブホワイトと鳴き声が聞こえて来る。
或はあなたは雉の猟野にいるかもしれない。そこはカーキ色の平坦な農地で、たくさんの統制された猟野で細心の注意を払って進む。あなたの誇りと喜びの象徴である愛犬が、今や美しい礼服を装った雄雉を運搬して来たところだ。
或はあなたはニューイングランドにおいて、森のいたずら者グラウスを狩り、或はサスカッチワンでシャープテイルグラウスを求め、或はダコダで狩り、若しかすると広大な西南地方で渓谷ウズラを狩っているかも知れない。
あなたがどこにいるとしても、この我々の輝かしい国にはあなたが狩り得る陸鳥が住んでおり、そしてこのスポーツは何という楽しいものであろうか。それを立派に行なう事は真の芸術であり、素晴らしい鳥猟犬はこのスポーツの真髄である。良く訓練された犬と一緒に野原や森の中をさまよい歩く喜びと友情はどんな人も見落としたり、又どこの少年も奪われたりしてはいけない一つの経験なのである。
この本は読者に立派な犬についての認識を深めさせ、一つの簡単な要約された形にまとめ上げ、初心の犬の所有者が彼等の友人である犬の訓練に成功出来るように、一歩一歩仕事をして行こうというものです。
犬の訓練は若し順序立てられた方法で、ここにこれから述べられているような単一の段階に従うならば、実際には非常に簡単な事で、そこには難しい事も不思議な事も何も無いし、学ぼうとする希望と、犬に対する愛情がありさえすれば、誰でも何等の困難なく達成する事が出来ます。
この本は猟犬の指示犬種の訓練についてのみ扱います。ここに並べられる概念の殆どが、大体全部の猟犬に適用出来るにしても、これはとりわけ指示犬種に向いているものです。若しこのテキストが多少無作法に見えても、その節は何卒お許し願いたい。私は大体全部の指導や、要約された方法のうち、或はその過程において、誤っているハンドラーを多少酷に扱うような事柄を、あなたに申し上げるかも知れない。
先ず第一の問題は犬の訓練ではなくて、訓練者を訓練する事だ、というのが真のねらいである。あなたは訓練者の仕事や彼の心の態度、忍耐、愛情、一貫性、自己の抑制、理解、雅量等に関する多くの怖れが、この本を読んで行くにつれて四散してしまうのを見出すだろう。訓練計画の段階を良く会得する事は、最終的にいい結果を得るためには非常に重要な事です。
「犬や動物の扱いを心得ている」と言っている人を、あなたは度々聞く事だろう。或る人が犬の扱いを心得ているのは事実かも知れないが、それは何も不思議な事ではないのである。これは上に述べた事柄を良くマスターした結果にほかならず、あなたはそれらを犬との仕事に応用すれば良いのです。あなたはそれを犬の心理学と呼んでも良いと思うが、然しあなたがそれを何と呼ぼうとも私が知っている事は、即ち「それはなさねばならず、且つやる事である」という事です。あなたが、この問題に正しい気持ちで立ち向かうよう心構えをしない限り、この本や或は他の如何なる本も余り価値は無いでしょう。訓練の実際のやり方は大変簡単です。困難であり且つ重要な事は、その方法が如何に進められて行くかであり、又、あなたがどこまでそれを完全にやったかということです。
鳥猟犬の訓練は経験深い人々にとっては大変議論の多い所です。一番巧妙な仕事については多くの異った意見があります。すべての方法を取り扱うのは大変長々しくなり読者を混乱させるでしょう。この本の中に収められている示唆を行って下さい。これは私自身の経験に基づくものです。多分これと全く同じ仕事に従う訓練者は二人といないでしょうが、殆んどの人が大体同じ線に沿っているものです。
この本はアマチュアで最終的に快適なシューティングドックを望んでいる狩猟家の為に書かれたものです。ここに示されている提案に従うならば、あなたはきっと望ましい結果を得られる事を私は確信ます。
あなたがこの本を楽しく読まれ、私が自分の犬を訓練する時のように、訓練に多くの楽しみを引き出す事が出来るよう心から希望します。
エルフュージャパン犬舎 公文昭雄氏の好意により記載致します。
0 件のコメント:
コメントを投稿