2018年12月4日火曜日
第1章 立派なシューティングドックとは何か
「理想的なシューティングドッグは何であるか」という事については、すべての人々がそれぞれの意見を持っているようです。若しあなたが自分の希望する指示犬の中で、未だ特定の犬種を定めてないとすれば、これが先ず第一番目になすべき事です。私にとっては、どれであるにせよ或る一つの犬種をおすすめする事は難しい。
記録によれば、ポインターやセターは永い間にわたって最も満足すべき結果を与えている。勿論他の犬種でもこの目的を達する事は可能です。
ここ暫くの間に一寸考えただけでも、ジャーマン・ショートヘアード・ポインター、ワイマラナー、そしてハンガリアン・ビスラー等の指示犬種が舞台に現われて来ている。アイリッシュセタ、ゴードンセター、ブリタニー・スパニエル等の如く昔からよく知られている犬種もあります。
これらの犬種、殊に古い犬種は所謂体構品評会向のものと、実用的な或は狩猟の為のものとに基本的な線が分かれている。今日において猟野系の英ポインター及び英セター種は、この国において、素晴らしい演技犬の個々を基礎にして、何代にもわたる作出を行って来た結果なのです。
米国で作られた所謂英ポインタや英セタは、我々のシューティングやハンティングに他の如何なる犬種よりも適しているという事は、意見の一致を見ており、事実この二つの犬種の遺伝的背景から見ても、正にその通りなのです。しかし他の犬種の中に良い犬が確かにいないという事ではない。ただ、望まれた結果を得るチャンスは確かにポインタやセタの方がずっと多い事は事実です。しかし乍ら、この本の内容は、他の如何なる指示犬種にも応用出来、そして訓練の手順はすべてに同様です。
英ポと英セの内、何れを選ぶかは最早や殆んど個人的な好みの問題です。一般的にその両者はそれぞれ特別の性格を持っている。或る人々はセターは見た目が楽しいと言い、英セターの長い毛は彼等をバラや擦り傷から守り、深い、ひどい藪の中を狩るのを可能にしている。又、或る人は、セターの長い毛は困ったもので、その為にポインターより暑さに弱く、又、普通訓練に大変時間を要し、扱うのに、いささか難しいという。一方において多くの人々は、ポインターはとても易しく且つ短時日で訓練が出来、実際に猟に使用しても、比較的若い犬でも結構役に立つという。
ポインターは一般に大変な持久力を持っているように見え、相当暑い気候でも充分な忍耐が可能です。しかしポインターは彼等の短い毛の為に、セター程大胆にひどい藪を狩る事が出来ない傾向はあります。
これら一般的な違いの他には、この二つの犬種は、例えば鳥を発見する能力、スタイル、猟欲、捜索範囲、協調性や智力等の本質的な性能においては全く等しいように思われます。両方の犬種について非常に良い系統もあり、又、悪い系統もあり、更に良い個体と悪い個体がります。ほんの一寸探しさえすればあなたが一緒にスタートする仔犬を求めるのには別に問題はないだろう。勿論、最初に見た仔犬を直ぐ盲愛に陥ったりしないで、その時その時で素晴らしい鳥猟犬になるかどうかを正しく判断しなければならない。
ここで私は一寸つけ加えたいと思うが、一般に言われている、専ら品評会向けに作出されているポインターやセターには、トライアル系の血統に見られるような天賦の猟能は期待出来ないと言う事です。本質的に立派なシューティングドックと言われるものは、充分な訓練と扱いによって、望まれる捜索範囲をこなし、主人がそれを射撃する為に到達する迄、ゲームの位置を明確に指示しているべきものです。
そしてこれらの動作は素速く、立派なスタイルで叡知と勇敢さと的確さを以て行われねばならない。彼のポイント時における作法は個人的な好みです。私個人としてはシューティングドックは鳥がたち、銃が発射された後指示がある迄、不動のまま止まっているものを好む。運搬も又個人的な好みであるが、多くの人々は犬が運んでくれるのを喜ぶ。普通の猟では運搬は望ましい事であり、半矢鳥の場合は殊に大事です。完成されたシューティングドックについての更に詳細なことは、後に出て来るフィールドトライアルの章で申し述べます。
快適なシューティングドックと言う条件がかなり使われているが、この点については私は紳士の使用するシューティングドックという事で良く定義づけられると思っている。快適なシューティングドックとはハンドラーの側にとって、殆んど何等の指示も与えないで済むような方法で仕事を行う犬の事です。多分初心者にとって他の如何なる事よりも注意を引くのは、彼の犬のレンジの事であろう。良い犬は銃の射程範囲外には決して出てはいけないと思っている狩猟家を私は知っている。この考え方は間違っている。何故ならばそれではゲームを指示する犬の価値を無くさせるからです。
例えばスパニエルのようなポイントの無い猟犬に対して、このような事を期待するのなら、それで良いが、指示犬はゲームを見出す為に射程範囲外に広く捜索しなければならない。如何なるゲームでも犬の助けを借りないでは、猟者の通過では翔たないものです。勿論その捜索範囲には自然の地勢や林の濃密さに左右される実際的の限界はある。しかしながら彼がそこで鳥を押さえているポイントが発見されるならば、犬が何時も視界の中にいなくてはならぬ何の理由もない。若し彼が三分か四分視界から去っても、常に前向きのパターンで狩り込んでいる限り少しも心配する事はありません。
この問題については又後程詳しく述べます。
シューティングドックは如何なる具合に完全に訓練されねばならないかと言う点に関しては、かなり違った意見があるようです。若し犬が上述のような基本的な要求を、あなたの前で殆んど指示する事のない程完全に遂行出来たならば、これはその90%が訓練の賜であると私は思う。家庭訓練の作法について言えば、彼は馬や車に馴れ、何時でも従順であるべきです。
又、例えばヒール(後へ) ステイ(待て) カムイン(来い) アップ(飛べ) ダウン(伏せ) シット(坐れ) イン(入れ)ウオー(止れ) そしてクワイエット(静かに)等の命令に直に従うべきです。
従って先ず訓練の第一歩は、あなたの心の中に、犬に何をして貰いたいかをしっかりと畳み込む事です。それでは私共は主題に入って行こう。
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