2018年12月22日土曜日
第19章 犬舎
ここで論ずるには余りに長たらしく、複雑な一般的な犬舎のデザインを議論するよりは、犬舎の根本的な基準についての私の意見と、エルフュー犬舎で満足している二つの犬舎の方法をお教えするのに止めよう。
あなたが建てようと思う犬舎のタイプを決定する為には、犬の健康、コンディション、気持ち良さ、楽しさ等に関して、心に留めて置かなければならない或る概念がある。私達の論議は指示犬種の成犬について関与する事にしょう。私達は既に犬が到達して欲しい決勝点を決定した。このタイプの演技犬を要求し、達成するには犬の身体的に敏感な立派な心を持っていなくてはならない。彼を最高に感度の良い状態に保つには、彼の犬舎の具合と性質に負う所が大きい。理想的な犬舎とは、充分な運動、立派な衛生、風雨からの防護、快適な楽しい環境を用意しなくてはならない。体内、或は体外の寄生虫は常に大きな問題であり、殊に暑い地方においてそうです。立派な犬舎のデザインにより、これらの問題の大半は解決する事が出来る。
犬が囲われている地面は、たとえそれが狭い場所や鎖で繋がれているにせよ、日光や風雨に晒されていなければならず、又水はけが良くなくてはならない。若し地面が水はけの早い軽い砂土でなかったならば、普通の川の小砂利で、少なく共30㎝程、覆はなくてはならない。その場所は水平で草木があってはならない。そして少なく共犬一頭当たり3m×3m程必要です。若しセメントの犬舎が用いられるならば水を早く流す為に少なく共10分の1の傾斜を含まなければならない。
若し犬が週に2~3回野外か広い運動場で運動出来るという条件ならば、セメントの部分は約1.5m×1.5mもあれば充分です。これ等の寸法は糞が少なく共一日に一度は掃除されるという想定に基づいている。日光はその場所の汚染を減少させるのを助け、犬の一般的な健康に大変重要です。犬は一年中日光に浴していなくてはならない。暑い夏の月々の間は日蔭を作ってやる。若し犬の運動場が普通の西風から守られる様に位置しているなら、犬舎の東側に日蔭を作ってやるか、木を植えてやる。犬舎それ自体は乾燥し隙間風から守られていなければならない。若し犬が乾燥し、良いベッドを与えられ、隙間風から守られたならば、零度以下の気候でも別に加温の必要なく快適に過ごせるだろう。内部の寝場所は、彼を楽に収容出来る程充分に広く、且つ彼の体温を保存出来るのに充分な狭さとを兼ね持たなければならない。木材やその他の熱の不導体の材料は、どの種の金属よりも勝っている。
犬舎の唯一つの入り口は風が吹きこまない一番良い方向の南東に面しているべきです。殆んどの犬が人を好む。従って若し何時も人々を見得る所に良く位置しておられる犬は、孤立的に閉じ込められた犬より幸福だろう。如何なるものの動きでも、それは監禁の苦痛を和らげる事が出来る。若し犬が一頭より多い時は一緒に犬舎に入れるか、或はお互に見る事が出来る様に犬舎を作るとよい。便利という観点から見ると、犬を所有し、又注意してやろうと思う人にとっては犬舎が近ければ近い程、より多くの配慮を与える事が出来る。既に私達が論じて来た様に、配慮が多ければ多い程犬にとって宜しく、反対に犬の方から見ると、快適な犬舎は御主人の家の中が好都合であると言う事になる。
私達は二つのむしろ新しいタイプの犬舎を私達の成犬の為に完成し、その各々が大変快適である事が証明された。その第一のものは(そして多分二つの中でより良い方のものは)米陸軍軍用犬協会で用いている犬舎と大変似ているものです。それは写真の様に杭棒の上に、地上45㎝程持ち上げた丈夫な木の樽です。それは樽の頭の部分に25㎝X35㎝の入り口を開け補強し、東南を向いていなければならない。約15㎝の直径のある、処分された電話柱の切れ端が立派な杭となる。約6㎜の回転ロットで出来た直径約23㎝の大きな鉄の輪をしっかりと溶接し、杭の囲りにはめ、約3mの鎖で犬を繋ぐ、杭より相当大きくする事により輪は自由に動き、鎖がもつれるのを防ぐ。3mの鎖は犬に充分な運動をさせるだろう。全部の場所或いは少なくとも6m位周りは川原の砂か或いは洗った豆砂利でも15 cm~20 cmの厚さに覆うと良い。水を入れるバケツは牡犬が小便で汚さぬ様、高めに且つ犬が楽に飲める程度の高さにつるす。鎖がバケツやパイプに打ち当たらない様半径3mの円の外に置くべきです。勿論樽は乾いた藁で良いベットを作ってやる。
この犬舎は以前に論じた樽の蔭による目蔭迄含んですべての基本的な基準を含んでいる。このタイプの犬舎は実際に安上がりだし、維持も楽です。勿論その場所は毎日清潔にするのも優しい事です。地面は時折り塩か石灰を撒き、ホースの水で洗い落とす。犬は檻の中に閉じ込められるより、このタイプの犬舎の方を好む。私達はこの様な犬舎を20個も持っており、その中に一年中働いている犬が飼われている。彼等はその犬舎が乾燥し、良く寝られ、充分な高脂肪食を与えられる限り、冬でも非常に元気に働いている。零下の気温も彼等を悩ませる様には思えない。外部の寄生虫は比較的つき難く、内部の寄生虫は簡単に調整出来る。
今一つの犬舎も、第一のタイプについて記したのと大体同様です。繰り返すが、犬は鎖で繋がれ樽の中で眠る。但しこの場合は差し掛け小屋が使用される。この小屋は2mの高さで、2.5mの奥行きを持ち、東南面が開けてある。小屋の下に、台の上に乗せた丈夫な木の樽が置いてあり、南東に向いている入り口が25㎝×35㎝に、先と同じ様に樽の頭に開けてある。
小屋の前に約25mの大綱を横にし、両端をセメントの角柱で固定してある。大綱はセメントが固まる前に角柱につけた重い輪のボルトに繋いです。大綱は--それはより合わせた針金でも良いし或は単なる一本の太い針金でも良いが--地面に平に置き、草を刈ったり、その部分を清掃するのに邪魔にならない様にしなければならない。1.5mの鎖がこの大綱に10㎝の鉄の輪で繋がれてある。犬は約3m×25mの運動場で運動出来、これによって彼等を良いコンディションに保つ事が出来る。樽と大綱は犬が簡単に樽に登る事が出来、しかも巻きついたりしない所に置かなければならない。これによって犬が負傷しない予防になる。水は大変独創的な工夫であるジョンソンカップにより与えられ、これは氷結期間を除いて犬に新鮮な水を供給するすべての問題を解決している。このカップは真鍮で出来ており、常に一定の水の高さを保つ事が出来る様工夫されている。それは原則として家禽用であり、多分家禽店やG.L.F飼料店で求める事が出来るだろう。
大綱は、小屋の後方に高めて置いてあるジョンソンカップに犬が届く事が出来、しかも尚それを壊さない程度に離す様に置かなければならない。小屋の後ろには三つの大きな鎧窓があり、夏にはそよ風を与える事が出来、犬は暑い気候でも特に快適です。この犬舎は良いハウスの根本的要素を与えて呉れるが、建てるのに多少経費を要し、又、他の方法に比し、より多くの手入れが必要です。或る犬は土を掘り、これは更に手間を掛ける事になり、大雪の時等大綱をシャベルで堀らなければならない。しかしこの方法は犬に多くの運動を与え、犬を美しい形に保つ事が出来る。勿論他にも使役犬に対する立派な飼い方はある。しかし基本的な要求が満たされる限り、あとは大した事ではない。
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