HAMAKAZE jj: 第5章 猟野訓練

2018年12月7日金曜日

第5章 猟野訓練


 次の訓練段階は、彼が家庭訓練で習った事柄を猟野の仕事に結びつける事です。これを試みる前に家庭において命令に完全に応ずるようにして置かねばならない。猟野においてこれ等の命令語(コマンド)を用いるに当たって、前もって20~30分走らせる運動をさせた後に、あなたの近くに来た時に、「カムイン」を命令ずる。彼は直ちに応ずるべきです。若しそれをしないようなら、チェックコードを取り、あなたの方に引きよせ、その場で5分か10分間のレッスンを与えて下さい。その後又運動を続け、命令を再び繰り返します。これを完全な反応が見られる迄続ける。同様に「ウォー」と「オーライ」を試みる。彼が正確に応ずるようなら更に難しい環境で命令を試みる。その都度直ちに応ずるように注意する。非常に遠くの場所から呼んだり、又止まらせる事が出来る迄、そんなに時間を要しないだろう。



 ここで命令語は只の一回しか使わない事を思い出して欲しい。犬があなたの言う事が聞こえなかったと確信出来る迄は、命令語を繰り返そうとしてはいけない。命令語を増して行きながらの野外訓練は、正確に応ずるようになる迄、何時迄も続けなくてはいけない。これは日時を要するかも知れないが反復と一貫性と良き判断力によって立派に前進する事が出来ます。

 これらの野外運動の間に「カムイン」の命令語は、猟のパターンを徐々に直すのに用いる事が出来る。繰り返しになるが、シューティングドックのパターンは議論の余地のある課題です。或る人は良いシューティングドックのパターンは、猟野の秩序ある捜索であると考えて居る。犬がしなくてはならない捜索とは簡単に言えば、一定の捜索範囲で彼の捜索曲線を常にハンドラーから、そらしながら右から左へ、左から右へ、猟野を捜す事です。それは狭過ぎてもいけないし、遠過ぎてもまずく、彼のリズミカルなパターンを終日保たねばならない。

 私個人としてはそれを犬に要求はしない。彼の狩って居る場所については、私はむしろ犬の方が良く知っていると申したい。これは彼の仕事なのです。若し彼の初期の訓練と経験が適切に進められて来ていたならば、鳥は何処で見出されるかを知っており又それを見出すだろう。

 若犬の鳥を発見する事の習得に関して一寸横道にそれたいと思う。私は6ヶ月の若犬が秋に数羽の鳥を見出し、次の春、4~5ヶ月前に鳥を見付けた、まさしくその場所を明らかに捜すのを見た事がある。以前に鳥を見付けた事のあるタイプの繁みを狩るのを如何に早く習得する事が出来るか、一寸信ぜられない位です。これらは彼等の習得する能力の良い例です。彼は前方に向かって狩り猟場を完全にこなし私の方に来ないで曲がり、或は走り去るように彼のパターンは調和していなければならないと思う。

 彼は横に曲がって来たり、後の方に回って来たりせず、私が呼ぶ迄は決して帰って来てはいけない。或る犬達は他の犬に比べてこれを犯し易いものがある。何故そうなるのか私には分からない。しかし、若し彼が早期に適切に訓練されて居たなら、誤ったパターンをとる事がより少なかったであろう。

 グランドパターン(猟野を捜索しながら走っている態度)に期待する今一つの事は持続的な勤勉さです。即ちゲームを発見しようとする決意です。勤勉さの欠如は不熱心とか、歩度(進行中の速度)の低下、足臭を嗅ぎ回る、二度も同じ場所を狩る、道を走る、楽な場所を捜す、或は遂に遊び出す等の事によって示される。

 さて典型的な野外活動に目を通し、私達の仔犬の一般的なグランドランニングの誤りを直してみよう。先づ第一番目に仕事をさせようと思う猟野に引き綱をつけて連れ出そう。すべての気を散らすものを取り除き、彼の気持ちを猟野に没入させる。そして注意深く犬に姿勢を取らせる。そして優しい言葉をかける。引き綱を解き、「ウォー」を命じ、稲妻のように飛び出すべき合図の笛の短い二吹きを彼に聞かせる迄、其処に留まらせる。最初の5分か10分は彼をハンドルしよう等とは全く考えないで走らせる。彼は多分非常に興奮し、血が沸き立っているので、どんな事でも私達の言う事を聞かないだろう。彼がやがて引き返し、私達の方に向かって来たならば、出来るだけ遠くからウォーを命ずる。そして犬に向かって近寄り、又最初から繰り返す。これを彼がカットバックした時にその都度行うと、彼はやがて主人から離れて狩をし続けなければならない事を学ぶ。

 若し犬が私達の前方のある地点でチェックバック(残臭などに執着)したり、立ち止まったりした場合には笛を二回短く吹けば、彼はぐるりと向きを変えて狩を続ける。次に彼は側方に余りにも走ってしまうかも知れない、この場合も又「ウォー」を命じ再び笛を二回短く吹いて、彼に狩をさせようと欲する方向に歩き始める。彼は多分私達の歩いて行く方向に向きを取るだろう。この場合彼に狩って欲しいと思う方向に手を振る事は大変助けとなる。

 若し彼が正しい方向に行かない場合は再び「ウォー」を命じ最初の仕事を今一度繰り返す。この場合彼に「ウォー」を命じ、或は彼に狩って欲しい方向に彼を出発させるのに、チェックコードを用いる事が必要となるだろう。これは何か難しく聞えるかも知れないが、多分非常に易しい事を発見して愉快に驚く事だろう。同じ仕事の最中に犬が或る目的物の囲りを曲がって、遂に私達の後に来たと仮定しよう。この場合は彼を「カムイン」で呼び、私達が狩ろうと思う方向に出走させる。若し彼が余りに度々後に来るようであったら、彼が後に来た時に「ノー」を鋭く使い、次にあなたが望む方向に彼を出走させる。

 次に彼がするかも知れないのは、ネズミやモグラに立ち止まったり、嗅ぎ回ったりする事です。この場合は出来るだけ彼に近寄り「ノー」を鋭く命じ、続けて二回の短い笛を吹き彼を狩の方に向かわせます。彼は間もなく、そんな具合に狩猟を中断してはいけないのだ、と言う事を学ぶだろう。彼のグランドパターンが最後にあなたに適するようになったら、彼のレンジを考え始める時期です。

 犬が必ず応ずるであろうと言う見通し無しに命令を用いてはならず、又若し彼が従わなかったら、彼を正さなければならない立場にある事を忘れてはいけない。「カムイン」の命令語は彼のレンジを正すのに用いられるとは言え、若し犬が全速で疾走している時や、捜索に足を延ばしている時には用いてはならない。確かに「カムイン」という一つの命令語は、彼に鎖をつけて引き寄せるものにはならない。私達は彼のレンジを徐々に直してゆかねばならない。

 犬に約15mのチェックコードをつけ、仕事を始める。20分か30分程走り、可成りあなたに近く来た時に、彼の名前を呼び、「カムイン」を命令(例えばジェイク、カムイン)します。そしてそれを確実に教えて下さい。若し彼が正しく行わなかったら、断固としてチェックコードをグッと引き寄せ、犬を手許に来させる。このようにした後、正式に発走させずに「オーライ」の命令(指図)で猟を続けさせます。ある程度これを何度か繰り返し、何時でも彼がそうしたら「カムイン」を命じ遂には彼に「オーライ」の言葉で、何時迄も猟を続けるように指図出来る迄この事を続けます。

 一部は彼についているチェックコードのせいにしても、彼は間もなくあなたの支配下にいなくてはならない事を学ぶだろう。この彼の訓練の間に、彼があなたの「カムイン」の命令に服従すると言う事は非常に大切な事です。勿論あなたが彼をそう出来ると確信の持てる時以外は決して「カムイン」を命じてはいけない。彼がそれを為したら、その都度優しい言葉をかけてやる。若し彼がそれをしなかった時は、その都度チェックコードをグッと引き寄せ鋭く「ノー」と言いあなたの方に来させる。彼が次第に従う事を学んだならば、だんだん遠くから彼を引き寄せるようにし始める。あなたが望むレンジを走らせるよう命令を度々適用するが良い。「カムイン」の命令語と一緒に彼の名前を用い乍ら、次第に「カムイン」を抜いてゆき、彼の名前だけを用いるようにする事が出来る。やがて彼は自分の名前を呼ばれたら、あなたの方に向かって来る事を学ぶだろう。一度この指図を習得したならば、あなたは彼のパターンを彼の名前を用いて形づくる事が出来る。

 この命令によってあなたは犬をより狭く持って来たり、こんもり繁った林に向かわせたり、言葉を換えれば狩猟の捜索を具合良く保たせるのに役立つだろう。今やあなたは彼を自分の支配下に置いた。しかし彼をあなたの足許で猟をするようにさせないで欲しい。少しは彼を延ばしてやって下さい。特に最初の10分位は決して彼のレンジを押さえようとしてはならない。その後には彼と一緒に調和して狩って下さい。若しこの時期に、即ち犬が引き綱から離されて、興奮して走り廻る最初の10分か20分が過ぎてもなお且つ彼があなたから飛び出して行ってしまったら、最初の機会に手許に引き寄せ狩を止め、10分から20分位手きびしい家庭訓練を行って下さい。彼に「ウォー」を命令し、「カムイン」そして「ステイ」を命ずる、このおきまりの手順を通った後に再び狩を始める。

 若し同様な事が又起こったら、彼が正しく行える迄再度やり直しをする。この過程において忍耐と一貫性と反復は基本的なものです。以上のプログラムはあなたが望む結果をもたらすだろう。若し駄目だったら尚他の方法もある。この事は後の「悪癖の矯正」という章で述べよう。

 良いグランドパターンの進歩は、恐らく他の訓練の部分より、より多くの時間を要するかも知れないが、次の段階の前に良く完成させて置かねばならない。


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