HAMAKAZE jj: 第10章 放したゲームの使用(置き鳥訓練)

2018年12月13日木曜日

第10章 放したゲームの使用(置き鳥訓練)


 犬を訓練する為に養殖した鳥を用うる事は比較的新しい考え方であり、若しそれが適当に用いられたならば大変素晴らしい事です。この技術の要点は、野原の中で囲いの中に放した鳥を犬にポイントさせるのにある、或る人々にとって養殖した鳥を使用する事は議論の的です。或る訓練者は、ほんの足しにしかならないか或は全く効果が無いと思い、ゲームに対し甘くなるが故に、良い犬を台無しにする事があると考えている。ゲームに対し甘くなるという意味は、ポイントに際し強烈さを失う傾向があると言う意味です。他の人はポイントに際し尾を振ったり、知って居て知らぬ振りをしたり(ブリンキング)、見落したり(ドロッピング)するのを養殖鳥のせいに帰する。殆んどの場合、これらの意見は経験の不足か、噂か、或は養殖鳥を使用する際の誤ったテクニックの結果によるものです。



 一方、養殖鳥の使用はあなたの犬に狩猟の事については教えもしないし又、目的物を探し求め、或はゲームの位置を正確に指示する天賦の素質の進歩にも寄与はしないが、犬に如何にゲームを扱うかという事を教えるのに大変有益です。それは又、彼を飛翔と発射に対し不動たらしめるブレイキングの狙いもある。私は養殖鳥や放した鳥の一般的な使用は革命的な犬の訓練法であると思っている。

 今日では殆んどの訓練者が一つの方法や他の方法で放した鳥を用いている。アマチュア訓練者にとって限られた時間内で、彼の犬をゲームさばきに適当に訓練出来ると言う事は素晴らしい事です。若し(鶉のコールペン、鶉を入れる檻)があなたの犬舎に都合良く設置されたならば、あなたの犬をゲームに当てて3回か4回ポイントさせ、しかも15分か20分後に犬舎に戻って来られる事が可能です。これは朝仕事に行く前でも良く、夕方仕事が終ってからでも良い。冬の烈しい月日を除いて鶉のコールペンは一年中を通して快適な結果を与えてくれるだろう。これの一番良い季節は晩夏か初秋です。早春に生れた仔犬からこれを始めて、その秋鳥猟のシーズンが開始される迄には、かなり良く訓練されたシューティングドックを期待するのは無理ではない。最高のシューティングドックを希望し乍ら、時間の無い忙しい人々にとって鶉のコールペンは最高のものです。

 狩猟家達がしばしば良いシューティングドックが欲しいのだが訓練する時間が無いと私に告げる。これは大変不幸な事です。何故なら狩猟において、その最高の味わいを楽しもうとする為には、如何に犬をハンドルするかを知る事が必要であるからです。犬を上手にハンドルする事を習得するのに私が知っている唯一の方法は、犬を訓練する事です。犬をハンドルする事を学ぶ前に、既に訓練された犬を購入するのは、水泳を習う前にアクアラングを買うのと全く同じです。1週間の中3・4日で良いから1日に15分位犬に時間を削く事の出来ない人はむしろ犬を飼わない方が良い。如何に素晴らしい動物であるかとか、飼育者にとって努力する価値のある結果を得られるだろうという点に関して無関心であっては犬にとっては誠に有難くないだろう。

 一方若しあなたが猟を楽しみ最高の犬を所有するのを望むなら、犬の進歩や訓練に使った比較的少い時間は立派に報いられる事だろう。鶉のコールペンを用いたり、少しの家庭訓練に用いるのに必要な時間は通常平日に得られる。猟野運動は更に時間を要するので週末とか日の長い夏の夕方に行うのが良い。一年中を通して私はナショナルチャンピオンを含めたこの国の最高のいくつかの犬を訓育しているが、それでも尚仕事で大変忙しい。訓練時間はどうしても普通の働く日の残り時間になり易い。私は時間が無い為に無視された犬達に済まながっている人々に、いささか同情をしている。

 一般に犬を働かすのは一日の始めの時間か暗くなる前の時間です。私が提案する放し鳥を用いる方法の何れを使うにしても最低限度の時間で、しかも、ハンドラーも大変楽しく犬を訓練し、熟練させ、すでに訓練した猟芸を保持する事が可能です。

 私は各地における多くの訓練者達によって養殖鳥が用いられるたくさんの方法を目にして来たが、私は自身の方法を遂行するのに興味を持っているし、放し鳥を用いている誰もが、それぞれ秘伝を持っているのを承知している。各人はそれぞれ自分の方法が一番良いと思っているだろう。或る場合には、レストラン・アントニーが、かき料理の秘伝を厳重に守るようにその秘密が守られている。ここで先ず最初に、私は自分の苦労して獲得した養殖鳥を用いる独得の秘法を公開しよう。若し私がフィールドトライアルの私の役割以上に一つの最高の事柄を獲得し得たとしたら、それは養殖鳥の一般的な応用であろう。公平なところ私は、それによって永年の間楽しんで来た犬の素質を割引きする事は出来ない。しかし彼等は確かに、この秘法のお蔭をたくさん受けている。

 今迄の章で、放し鳥を用いないで、あなたの犬を如何に訓練したら良いかを示して来たが、次に述べる事柄も決してそれに矛盾するものでなく、好ましい結果を生む筈です。養殖鳥を用いる仕事には普通それに先立って準備が必要です。若しあなたがたくさんの自然鳥に恵まれているなら、この方法を用いたり又この章を読んだりする必要はない。

 しかし私の考えでは、今日ではシューティングドックの訓練に興味を持っている人々の殆んどが、自然鳥の十分な供給を持っていないと思う。いくつかの州においては、シューティングドックを夏の期間ゲームに当てる事は非合法です。だがしかし秋の狩猟シーズンに備えての訓練や、ブレイキングの大半はこの夏の期間になされておらなければならない。

 他の如何なる方法よりも養殖鳥を用いる方法は、あなたの犬を高度の段階に完成させ、或は磨きをかける事が出来ると私は思っている。私はその過程を出来るだけ簡単に記述してみよう。所詮私のプログラム(計画)は長く複雑なものとなるが……。先ず鶉から始め、次に雉に進み、最後に鳩で終るが、各々の場合によってそのやり方は違っている。


   鶉

 鶉は多分最も費用もかからず且つ最小の場所で、うまく育てる事が出来るだろう。最初の課題は先ず鳥の訓練です。あなたも知っているように鶉は自然には群をなして生活している。若し群が離れ離れになった時には出来るだけ早く一緒に集まろうとする自然の傾向を持っている。彼等はお互いに鳴き乍ら群の残りに場所を知らせ合う。彼等の鳴声は非常に遠くまで達し、歩き乍ら、或いは飛び乍らそれを信号として用い、彼等が如何に遠く離れて居ようが頓着なく再び群を型づくる。この性質が以下の方法の根本です。先ず基本として私達は鶉の群を作る。そして針金で作られた隣接した檻に二分する。私達は群の一部を解放してやり、彼等が又戻れるように檻に工夫をして置いてやる。このようにして群は又一緒になる事が出来る。

 檻は5㎝角の骨組みで建てられ、それは金網で覆われている。全体は約2mの長さ、横1m、高さ約1mに建てる。床と屋根は厚い布地で覆い、今一つの床は、50cm程上げ、それによって実際には一つの艦を他の艦の上に置く事になる。一方の端はしっかりと閉じ、もう一つの上下の端にはそれぞれドアをつける。下の方の檻には図に示したように両側に檻の中に入れるような小さな金物で覆われた管をつける。

 この檻をあなたが犬を働かせようと思う場所に置く。これを例えば高い木の下とか、繁ったトゲのある隠れ場の繁みの近くとか、天然の或いは植えた牧草の近く等のように自然の鶉の居そうな場所に設置する。鶉は空中の略奪者がある為に、自分達を空に暴露したがらないので、彼等が生け垣や木の遮蔽物を使って檻に帰って来ることが出来るなら最適です。

 生れて12週目位の鶉を買って、晩春から初夏に檻を外に置く事が出来たら一番結構です。上・下段の檻にそれぞれ15羽位の鶉を入れ給え。新鮮な水、砂、砕いた穀粒、ゲーム鳥用の食物、そして砂浴びの為の可成り大きい皿に入れた砂を与える。鶉にヒヨコ大の花崗岩のかけらを十分に与えるよう注意する。この状態の許に、鶉は良く育つだろう。若し彼等がお互いにつつき始めたら、中に緑の豆科の葉(例えばムラサキウマゴヤシやクローバー)を入れてやる。彼等が自分の糞で汚れないよう注意し給え。金網の床はこの為です。然し檻の一部の少しの所に彼等が寝むる為に木の床を用意してやる。檻に12週目の鶉を入れる際には、彼等は既に群を作っているのを見出すだろう。そして、それは2・3週間の内に切り離せなくなる。

 彼等をそこに入れてから2・3週したら、下の檻のドアを開いて鶉が外に歩いて出るのを許す。決して飛び翔たせてはならない。そしてドアを閉め、そこから立ち去り給え。これは朝にした方が良い。このようにして彼等に一日中檻への帰えり道を捜させ、管を通って中に入る事を覚えさせる。若しあなたの檻が適切に作られ、又良い場所に位置していたら、鳥達は僅か1・2時間の内に中に帰っているだろう。これを1・2週間毎日繰り返えす。その後に彼等を外に出してやった時飛び翔たしてみる。彼等は多分100mか或いはその前後、飛び去るだろう。常にドアを閉じ、それ以上追わないで離れる。彼等が檻に帰り管を用いるのを覚える迄、これを6~8回繰り返えす。彼等がこれを規則正しくするように覚えたら、犬の仕事に当てられる準備が出来たことになる。

 若し鳥達が檻に近付き難い所や、犬の仕事に向かないような所に飛んでゆくようであったら、檻を動かす必要があろう。草地は鶉を留らせ、又、犬の素晴らしい働きの両方の観点から最適の場所と思われる。若し耕地や並木のある広場等に飛んで行ってしまうと、鶉達は遠く走ってしまうので立派な、きれいな犬の働きを難しくしてしまう。檻を動かす時は、新しい場所で何回か鶉を翔たせて、犬をかける前に自分の所に帰る道を覚えさせる機会を与える。犬に檻を騒がせたり、鳥をおどかしたりさせてはならない。これは、「ノー」で止めさせ給え。一度彼が覚えれば、檻に対してはほんの少ししか、或いは全く気にしなくなる。

 鶉を用いる場合、檻からあまり遠くに追いやってはならない。私は大抵一度しか翔たせず、彼等が、あまり遠くに行かなかったら今一度翔たせる。若し、彼等が呼び檻からあまりに遠くに移動した場合は、或いはもう帰って来ないかもしれない。あなたの犬が彼等に対し如何に良く働く事が出来るかは、鶉達の訓練次第です。悪い気候の時や、夕方あまりに遅くには決して鶉を用いてはならない。自分達の檻に帰るのに十分な明るい時間を常に与えなくてはならない。鶉は犬の訓練にとって理想的な鳥であり、殊に若犬において然りです。彼等は強い体臭を持ち、走ったりする傾向はない。(少なく共雉程早くには)。彼等は非常に素速く飛翔ち、若し正しく育てられたら、強い飛翔者です。犬達は鶉に当ることを非常に喜ぶ。鶉に当ててどんなにたくさん犬を働かせても、鶉にポイントするのに倦きたり、興味を失ったりするようなことはない。鶉を用いるには、先ず最初に彼等を放してやる。次に普通の方法で犬を暫く走らせた後、鶉が居る場所に向け、自然鳥に対すると同様に働かせれば良い。

 もし、あなたが1対程の鶉を特別な場所で欲しい場合には、これも可能です。小さい20㎝四方位の木の箱を作り屋根にハンドルをつけ、底に滑り落ちるドアを着ける。呼び檻の下の段から1・2羽の鶉を取り、この箱に入れ、あなたが鳥の欲しい場所に置く。鳥を隠すのに十分なボサのある場所を選び、箱をそっと置き、ドアを取り去る。その儘、1・2分そっとしておき、鶉を草の中に放して注意深く箱を取り去る。正しく置いた場合は、鶉は暫くの間そこに留り、少なく共、あなたの犬をその鶉に当てるのには十分な時間があるだろう。

 このような檻を用いて、犬をどれ位鳥に当てられるかは一寸考えられないだろう。1シーズンに私は檻の下の段に17羽の鶉を入れ、8週間の間1羽も失わないで利用出来た。鶉は使えば使う程良く訓練されるように思える。私は1日に約3回程用い、すべての鳥を日没迄に檻に戻すようにしている。あなたが、もし鶉を交配時期に用いようとした場合は、一時オスとメスの何れかを離した方が良い。私はメス鳥を離しオス鳥を呼び手として上の檻に入れて、良い結果を得ている。もし一緒に放置した場合は、それぞれ対を作り自分の巣籠りをして決して再び群に戻せない。

 鶉を或る場所に置くことにより、特別な課題についての仕事が出来る。例えばあなたの犬にバックさせるのが難しいような場合は、あなたは先ず鶉を置く。そして成犬をその鶉に当ててポイントさせ、若犬にチエックコードをつけて連れて来て、成犬にバックさせることができる。またこの方法は、大に飛翔や射撃に際しブレイクさせるのに殆んど完璧な方法です。何故ならば、あなたは鳥が何処にいるかを知っており、犬を扱うのに可成りの時間を持てるからです。

 放し鳥を使う場合、あなたの犬を暫くの間ポイントさせるのを気にしてはいけない。「暫くの間」とは、少なくとも5分間を意味している。私は放し鳥に犬を20分か30分ポイントさせておく。一例として、私は犬に1時間40分ポイントさせておいたことがある。彼がポイントした後に、犬舎に帰り、他の2頭の犬を訓練し彼の所に戻ったが、私が離れた時と同じように完全にポイントしていた。その犬はエルフュー・マークスマンであった。このような訓練は犬に対して非常に良いことです。いろいろな場面が実猟においては起り得る。特に繁った林の中ではそうであり、あなたの犬を見付けるのに10分も15分も要するような時、あなたの犬は何処か見えない所でポイントしている筈です。犬を暫くの間捜し求めたあげく、彼がポイントしているのを見付けた時には、私は大変なスリルを感ずる。これは完成された犬の話です。


  雉

 雉は唯単に檻に帰るように訓練するのが難しいという理由で、仕事をさせるのが大変困難です。必然の結果として損失は時により高価につく。その主な原因は、雉が鶉のように安価でないということです。雉を仕掛けで飛翔させる原理は同じ考えに基ずいている。つまり、類は友を呼ぶのです。もし、鳥達が良く訓練され、また、あなたが一時に何度も追わなければ、あなたは多分そんなに多くの鳥は失わないであろう。

 雉は犬を働かすのには、非常に優れた猟鳥です。私はこのような積極的な言明をする理由を持っている。殊に鶉を用うるのに馴れた訓練者は、雉を用いないようです。知識の乏しい雉の扱い方ばかりしている殆んどのものは、雉に馴れず、如何にそれを扱ったら良いかも知らずにいる結果なのです。丁度この過ぎた冬に私が、ナショナル・アマチュア・クウェール・シューティングドック・チャンピオンシップに随行していたときに、1人の競争相手が、「もし私が思い通りにやったならば、この地方の残った雉は皆とられてしまうだろう」と私に告げた。私の答えは唯簡単に、彼が私の好きな鳥について話していたのだという事を彼に知らせるに留めた。私が、もし次の点を取り上げたなら、それは可成りな議論となったと思われた。即ち彼は経験の不足か、或はそうでなくて、彼の犬が唯単に、雉を扱い得なかったのを悩んでいたか、何れかですと推測した。殆んどの犬が雉を良くさばくが、或る小数の犬にとっては、それに馴れる迄或る期間を要する。他の大部分の犬は直ぐさばき方に馴れる。雉のチャンピオン戦に初めて出走して、ナショナル・フェザント・チャンピオンを獲得したのは雉をやったことのない鶉犬のポインタ・ホームアゲイン・マイクであったと記憶している。

 雉の檻は犬を働かせようと思う場所(出来れば典型的な雉場)の中に正しく設置されなければならない。理想的のフィールドは、数年間ほったらかしてあるような小麦の切刈の所等で、来年芽を出すような草木等はこの目的に適切です。檻は6m四方で、高さ2mあり、2.5cmの六角形の家禽用の金網で完全に囲われておらなければならない。金網は、20㎝か25㎝地下に入れるよう注意する。骨組みは、5×10cm角の材料で作られる。檻の高さで横幅1mの一対の大きなドアを用意し、それぞれ反対の側にとりつけ、4つの管を四面それぞれの側に1つずつつける。管の大きい方の口は約45㎝の直径を持ち、檻の傍に地面に水平に置き、約60㎝檻に入って行き、小さい方の口は、約20cmの直径に次第に狭められている。檻の中にあるこの小さい口は、地面から45㎝程持ち上っていなくてはならず、それは針金か棒で支えられている。新鮮な水、食物、砂、そして松の枝、穀物の茎、或は繁ったトゲのような隠れ場を檻の中に用意し、それによって雉が外から彼等を脅かす、如何なる迷い犬や動物に対しても身を隠すことが出来るようにする。どこに置くにせよ、孵化後25~50週、又12~15週の雉達をこの檻に入れるが、早ければ早い程、鳥達は晩春か初夏に利用出来る。

 幾つかの家禽用バンドと長い柄のついた網を買って来て、雉を放す時に、この網で2・3羽を捕え、それぞれにバンドをつけ檻の外に放す。このようにすれば、彼等は飛ぶ事が出来ないので、歩いてその場を離れる。これ等のバンドをつけた鳥のみを毎日か或はそれ位、放すようにする。次第に遠くの距離から放し、放した時飛ばせるようにし、彼等が檻に帰り、管を通って中に入ることが出来るようになる迄続ける。8回か10回程この方法で訓練する。放鳥訓練で捕える際あなたは、彼等につけたバンドで見分けることが出来る。

 今やあなたは、自然の鳥を狩ると同じように訓練された雉に犬を当てる事が出来る。しかし、ここで私が強調したいのは、私達が好きな場所で積極的に鳥を放す事が出来る点です。これを為すには、鳥を檻から取り出し、少し離れた可成りボサの繁った場所に置く。その際鳥の頭を翼の下に入れて両手で鳥を掴み、腕の長さ位の弧を画いて10回から15回振りまわす。それから注意深く草むらの茂った所に鳥を置く。鳥は眩惑されてどこに置かれても10分から1~2時間そこに居残っているだろう。雄雉も雌雉も両方が使用出来る。鳥を置く場合には、出来るだけそこを掻きまわしたり、又人の臭いをつけたりしない方が良い。綿の新しい手袋の使用はこの目的に良い。雉を用いる場合、決して1回より多く使ってはならない。もし飼ってある檻からあまりに遠く追いやられると帰って来ないだろう。若い雉は大変使い易いように思える。それは雉が次第に成熟すると、飼育檻にあまり帰りたがらなくなるように思えるからです。

 鶉や雉を用いる場合、鳥を犬達の為にしばしば撃落してやる事は良い事です。既に自然鳥について記述したと同じような方法で行ない給え。猟野訓練を、鳥に対し良い演技を以て完成するのは良い事であり、鶉も雉もこれをより早くするのに大変有益です。もしあなたの犬が、自然鳥に対し立派な演技を示してくれるのならこれは素晴らしい事であり、その時は訓練を終えても良いが、もし彼が、如何なる自然鳥をも正しく位置を指示する事が出来ず、且つゲームに対する態度に混乱が見られるようなら訓練を止める前に、放し鳥で訓練しなくてはならない。この訓練により、そのような犬に非常に良い結果をもたらし、彼等は熱意と精神を高度に調整しつづけることが出来る様になる。

 養殖鳥に対して犬を仕事させるのは、訓練にとって驚くべき程の助けであるにしても、それは常日頃の猟野活動の補足としてのみ用いられなければならない。この中には猟野における実地経験を否定するいろいろな誘惑物がある。なぜなら、この仕事は素速く、又多分より面白いからであり、しかも、それをやり過す事がある。あまりしばしばこれを用いると、あなたの犬が放した鳥に倦きてくる事があり得る。他のものと同様に、この変化は個々の犬によって異る。もしあなたの犬が、興味を失って来たようであったら、彼の為に何羽かの鳥を撃落してやり、彼をより多く自然鳥に当てるようにし給え。

 これらの放し鳥を用いて働かす場合、あなたの他の犬達にその活動の状景を見渡す事が出来るように犬を繋げる場所を使い給え。もし、あなたが1頭以上の犬、或は犬を持った友人と一緒にこの訓練をする場合、あなたが使わない犬を繋ぎ動作を見守らせるようにする。これは普通犬達を興奮させ、彼等の欲望をかき立てる。殊にゲームに対して少々甘かったり、シャイのある犬にとって刺激的です。

 放し鳥を用いる場合、私は4~5頭の犬を棒につけた鎖に繋ぐのを常としている。これは10m~12mの可成り重い鎖で両端をしっかり棒に固定してある。鎖にする理由は、時に犬が興奮して、革や綱だと噛んでしまうからです。犬を繋いだ後、鎖に繋がれている犬が見えるように鳥を放したり置いたりする。そして一度には一頭の犬を用いる。もし彼が未だ野外運動をしてなかったら、先ず20分か30分彼に狩らせた後、鳥のいる処に廻って来てポイントさせるようにする。彼がポイントしたら、時に他の犬をバックさせる為に鎖から連れて来る。これには勿論時間を要するが、この間ポイントしている犬はポイントを保持していなくてはならない。次に鳥を翔たせ、犬を鎖の所に戻す。この間鎖に残された犬達は全ての過程を注目する事が出来、時に非常に鼓舞されるが、勿論これは私達の正に望む所です。このような興奮させる状況下で、良く犬に制御させることは時に難しいことがあるが、如何なる環境のもとにおいてもあなたの支配に従うという訓練に、非常に良い事です。

 実猟において興奮の度合が非常に高調する時があるだろう。突然たくさんのゲームにあったような時は興奮が高度となる。こんな時こそ、コントロールと訓練が必要な時です。外見完成されたように見えるガンドックがこのような状況下で、すっかり混乱してしまうのを何度も見たことがある。


   鳩

 飼い鳩は猟鳥ではないが、犬達にポイントさせるような非常に良い臭いを持っているし、訓練の目的にも大変うまく使用出来る。鳩の使用は多くの訓練者の間でも大変な議論を呼んでいる。しかし繰返すが、私はこれ等の鳥を使って成功裡に犬達を訓練しているという点を指摘したい。鳩を用いての立派な結果は、その方法に依存するところが大きい。これらの鳥を用いて行なう仕事が好都合なのは、安価であり巣を作り育てるのが簡単であり、又、鳩が巣に帰る自然の本能を持っていることです。彼等は何んな種類の檻でも良く、例えば屋根、ガレージの二階、或は納屋等でも良い。この檻はレース鳩のファンが用いているような普通の引戸を持っていなくてはならない。これは針金の入口で巣箱の中に入れるような戸を持った台で、中には入れるだけになっている。このように放された鳥は巣箱に戻れるが、外には出られない。鳩も犬達を働かす前に鶉や雉と同様に訓練されて置かなければならない。

 彼等が巣箱の中で6~8週間程経ったら、ほんの暫く外に出し始める。皆巣箱に帰るのに馴れる迄これを続ける。先ず最初にそこで巣ごもり出来るようなら最高です。巣箱で育った鳥は更に良く適している。

 犬の為に鳩を放す際には、雉の時示したと同様な方法で行なう。鳥の頭を片一方の翼の中に入れ、腕の長さに弧状に何回も振る。それから鳥を隠すのに適当な、かなり茂ったボサの中に置く。鳥を置く前に鳥でその周囲の草をこすり、可成りな臭いを残すことは良い考えです。その際はあなたの人間臭を消すために手袋を用いる。これは放し鳥を扱う時は何時でもやらなければならない。置く場所は出来るだけ荒らさないようにし、犬をゲームに当てる時は、どんな些細なものであっても常に風向きに注意し、又、犬にポイントさせる際は決してゲームの風上に立たぬよう注意する。あなたは鳩が他の猟鳥程早く翔たないのに気がつくだろう。彼等は催眠術からそれ程早く回復しないように思える。なぜなら、このようなタイプの養殖された老鳥は、更に申し分なく働くように見えるからです。

 この段階から後は、あなたが他の養殖鳥について働かせて来たと同じように行なう。鳩を非常に申し分なく働かせるもう一つの方法は、ミシガン州ハリソンのラッカス・スペシャルティー製作所で作られたスチュワートの放鳥器を用いる方法です。これは電気かコードによって開くことが出来るスプリングの開き戸を持った小さい鳥籠です。この放鳥器を適切に使用するには、2m位のかなりの茂みで相当下草の繁った所を選ぶ。放鳥器を良く茂みの中に置き、自由に器械が作動出来るよう確実にしておいた上で、出来るだけ隠す。そして茂みの中に3・4羽の鳩(成可くなら未だ飛べないような若鳥)を入れる。次に成鳥を放鳥器に入れる。これにより、若犬を働かすのに相当の臭いを与える事になる。

 あなたの犬がポイントに入り、少しの間彼をハンドルした後に、予めあなたが鳥に近寄ろうと思った方向の地面に置いてある放鳥コードを引き、鳥を翔たせる。これにより1羽の鳥が空中に飛び翔つ。そして空砲を発射し、その間犬はポイントの姿勢を1・2分間保つ。その後犬に引綱をかけつかまえる。こんな風に犬を働かせる間は、犬が完全にブレイキング出来る迄は常にチェックコードを用いる。地面の上の鳥を犬に捕えさせるのは常に避ける。もしあなたが望むなら、若い鳩達をそこに残し、放鳥器に再び他の鳩を入れ、引き続き他の犬や同じ犬を働かせる事が出来る。もし終了したら若鳥を巣箱に戻してやる。同じ放鳥器を鶉に用いる事が出来、多少大きなものを用いて、雉でも同様な方法で同じ良い結果が得られる。

 養殖鳥を用いる際は、何時でもそのゲームが、十分長い時間犬の為に臭を発散させるよう注意し、人間臭は何んなものでもそれを減らすよう注意しなくてはならない。人間臭は、その臭いの状態を変化させてしまうから。或る日の臭いの状態は、又別の日のそれとは大変な違いがあるように思える。暑い乾燥した日は悪い。同時に又、放し鳥は常に見えないように隠さなければならない。犬にとってゲームが見えないということは、殊に若犬にとって非常に大切な事です。一方ゲームをあまりに深く茂みの中に隠してしまうと、すべての彼等の臭いを閉じ込めてしまう。

 上述の事は、あなたに養殖鳥を用いるのに十分な知識と基礎をうまく与えるだろう。以上の鳥達について説明した中の一部でも、或は全部でも試みられるようお奨めする。

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