HAMAKAZE jj: 第14章 悪癖の矯正

2018年12月17日月曜日

第14章 悪癖の矯正


 あなたが如何に注意深くしても、あなたの犬は次第に悪い癖をつけて来るだろう。これ等は出来る限り早く発見し矯正することだ。長く放置すればする程、矯正は難しくなって来る。あなたの訓練の結果として、犬が持っている気分を以てすれば、彼の身について来るであろうところの悪癖を矯正することは難しいことではない筈です。

 悪癖を矯正する場合は、今迄注意して来た忍耐、そして一貫性、持続性等の事柄を良く心の中に留めておかなければならない。彼の進歩のこの段階においては、初期に較べると、ほんの少しの努力で一段と効果的にし得るだろう。もしここに記載されていないような多くの事態に遭遇したり或はうまく処理出来ないような場合は、諦めたり、思い切った非常手段を採る前に、有名なプロの訓練者に相談した方が良い。彼はあなたに、いくつかの建設的な注意を、間違いなく与えてくれることだろう。


ガンシャイ

 ガンシャイは多分あなたの犬に起り得る最も困った事態であろう。もしあなたがこのガンシャイを犬の極く早期に発見したならば、それを直そうとするよりむしろ、その犬を諦めて、他の犬で出発した方が良いと思う。それを矯正することが出来るにしても、何しろ大変な仕事だからだ。あまりありそうもないことだが、犬が既に相当進歩して来た後にガンシャイになったというような場合に、今迄その犬に掛けた時間と費用と努力を考えて、何とかそれを矯正しようと思う時は二つの方法がある。一つは、あなたが自分自身でそれを直すことであり、今一つは、ガンシャイ専門のプロ訓練者に犬を送ることです。或る訓練者は一定の値段で犬の矯正を引き受けるだろうし、その値段には通常それだけの理由があるのです。

 もしあなた自身で彼を直そうとする時は、通常の方法で、但し銃を持たずに、彼が積極的に狩をしゲームをさばくようになるまで働かせる。次に放し鳥の章で記したような杭に繋いだ鎖を用い給え。これを行なう時は他の犬を2・3頭一緒に用いるべきだと私は信じている。しかし私は正直に言って、これに似かよった結果が得られる他の如何なる方法も知らない。2頭の他の犬の間に、お互にけんかをしない程度に出来るだけ近く、鎖で繋いで犬を置く。杭に結んだ鎖に繋がれている犬が、すべての動作を見ることが出来るように、約100m程前で置き鳥を用いて仕事をすすめる。他の2頭の訓練犬は次第に興奮し、特にゲームが翔ち、銃が火を吹くと非常に興奮するだろう。これを暫く行なった後他の訓練犬の夢中さが、問題の犬に伝わる筈であり、ここで先ずあなたは、彼も又大変興奮していることが解るだろう。彼がこうなって来たら、次第に置鳥を近くに寄せ、犬がこれに心を奪われる限り、これを続け最後には、その鳥を問題なく彼の前で撃てる程度迄近付け、然る後鳥を撃ち落し、頭を与える。これを2・3日行なった後、彼をゲームに当てるが、発砲する時は注意深く行なわなければならない。鳥を彼の為に撃ち落してやり、頭を食べさせる。あなたは注意深く一人で行動をし、決して彼を人々の前に出してはならず、彼のペースを守ってやる。

 もしこの置き鳥や、他の訓練犬と一緒の仕事でうまく行かなかったら、他の犬と一緒に狩をさせる。しかし彼には、ヒールさせるか、引綱をつける。出来れば助手に彼を引かせると尚良い。他の犬が自然鳥をポイントしたら、その問題の犬が自分で鳥臭を取り、ポイントしている犬を良く見ることが出来るような十分に傍に連れて行く。それからゲームを翔たせ、成るべく410番口径のような小さな銃で発射し、鳥を落して犬の処に持って来てやる。優しく言葉をかけ、死鳥を投げて捜させる。もし彼が鳥の処に行くのを怖れるようなら持って来てやる。彼がゲームに興味を示すようになる迄、これを続ける。次第に彼をこの舞台の近くに寄せて行くが、彼が発射された後でも自分で狩りたいと欲する迄は常に綱をつけておく。

 ガンシャイを直してゆく過程においては、鳥の飛翔と発射に対するブレイキングを保つのを忘れても良い。もし彼が欲するならむしろ、犬に鳥を追わせた方が良い。あなたは後に又、何時でも彼をブレイキング出来る。この問題に従事する場合は、上の両者の方法の何れかが効果的に働くだろう。幾つかの高度のガンシャイはアマチュア訓練者の範囲外に属し、このような仕事に特別の腕のあるプロ訓練者に委せるべきです。


レンジの広過ぎ

 あなたの犬の自然の捜索範囲が、もしあなたの希望より広過ぎ、且つ、既に記載した訓練によっても応じない場合は、以下のように試みる。

 最初の方法は馬を用いる方法です。あなたが馬の背にいる以外は普通の方法を働かせる。もし彼があなたの欲する範囲外に行ってしまったら、彼を近寄せる為に笛でも、彼の名前や「カムイン」でも何でも良いから命令してみる。それでも、彼が応えようとしない時は馬で彼に追いつき、その命令を再度用いる。馬から降りてムチを用いる必要があるかもしれない。この時はあなたが普段用いている命令語以外の何も言ってはならない。何時でもあなたが到達出来るのだと、ひとたび彼が悟ったら、彼は速やかに命令に応ずるだろう。

 もし馬が採用出来ない場合は、チェックコードを用いる方法を試みる。かなり長いチェックコードを用い、あなたが犬に引返すように命じたり「カムイン」を命じた時は、彼に追いついて、チェックコードで彼を引戻し、それ専用の命令を与える。もし必要ならムチを用いる。彼が直に応ずる迄これを繰返す。次にチェックコードを短くし、彼が如何なるコードをも必要としないように反応する迄、次第に短くしてゆく。このようにする理由は、コードがついている時は完全に命に服するのに、あなたがそれを取り去った瞬間に前と同じ悪癖に、すぐに戻ってしまう犬がいくつかあるからです。

 3番目の方法は鎖をつける方法です。犬に働く時の革具をつけ、5㎏程の太い鎖をその両脇に縛りつける。鎖の重みが彼のスピードを弱め、犬をあなたの支配下に置くのに十分であろう。彼が遠走りした時は何時でも、彼を叱責する為に捕まえるのは容易い事です。これをあなたの希望する結果が得られる迄続ける。然る後鎖無しで働かせ、尚彼が正しく働かなかったら再び鎖をつける。

 最後にあなたは電気の首輪の使用を選ぶことにする。しかしそれは最大の注意を以て用いなければならない。「カムイン」の命令語を強調するようにそれを用いる以前に、犬はその命令語の意味を必ず学んでいなくてはならない。この首輪は一種の懲罰であり、その場に応じて適切に用いなくてはならない。この首輪は、あなたの犬舎や家から全く離れた所で用いるのが最良です。あなたのトラックや車が近くの場所にないように注意する。模造品の首輪を用い、犬を2・3度今迄と同じような方法で働かせる。次に電気を通じる首輪を用いて働かせる。彼が100m程離れた頃「カムイン」を命ずる。彼が直に応じなかったら首輪に信号を送る。彼は真直にあなたの所へ帰って来るだろうが、その場合には優しく言葉をかけてやる。彼が大変離れて行った時に、あなたが満足のゆく迄同じようにこれを繰り返し給え。初心者は電気首輪は万能薬の一種と思い勝ちであるが、実際は、これは懲罰の厳しい形です。極く控え目に用いられるべきであり、ゲームとの関連においては絶対に用いてはならない。プロやアマの訓練者によって、この電気首輪の使用で永久的な打撃を受けた犬がいくつかいる。もしあなたがこの本の中に収められている訓練方法に従うならば、異例の犬を持ったのでない限り、電気首輪に訴えるようなことはしてはならない。彼と働く際、彼が一旦あなたの許に戻って来た場合は、遠く走り過ぎたと罰してはならない。これは唯彼を混乱させるだけです。そしてうまく出来た時は優しく言葉をかけてやる。


バンピング

 バンピングとは、ポイントなしに鳥の中に真直ぐ突っ込んでしまうことを意味する。この問題を矯正する場合、あなたは詳細な判断とその場合の注意深い分析をしなければならない。或る場合は鳥臭の状態が、犬のバンピングの原因になることがある。春の若草のたくさんの芳香か、或は鳥達が春はあまり臭いを持たないか、何れかに起因する自然の現象であろうと、私は常に感じている。これは恐らくすごもりの期間中、猟鳥を守る自然の摂理であろうか、いつの場合でもこれがおこり得る。

 バンピングは犬の呼吸器系の感染とか、アレルギー、そして損傷等に起因する嗅覚能の欠如からもくることがある。従って犬のその失策を矯正する前に、犬がそれを慎重になしているか、注意する必要がある。彼が失策したのだと確信を持ったら、彼がバンピングした時に「ウォー」を命じ、鳥がいた場所に連れ戻し、ムチを用いる。彼をポイント姿勢にさせ「ステイ」させる、そしてあたかもあなたが鳥を翔たせるかのように彼の前に歩いてゆく。彼が失策した毎にこれを繰り返す。彼は間もなく、もっと注意深くなり正しく行なうようになるであろう。

 もしあなたが養殖鳥を持っていたら、鳥を置き、犬にチェックコードをつけてそこに連れて行く事により、バンピングを矯正することが出来る。彼が鳥臭を取ったと確信したら「ウォー」を命じ、優しい言葉をかけ、もし動こうとしたらムチを加える。うまく出来るようだったら1・2羽の鳥を撃落してやる。いつも頭を食べさせてやることを注意して欲しい。


空ポイント

 空ポイントはバンピングと背中合わせのようなものです。これはゲームの所在を明確に指示することが出来なかった時のポイントです。これは通常犬が鳥に対して慎重過ぎるか、或は訓練のやりすぎか、何れかに起因する。空ポイントは矯正するのがむしろ優しい失策です。空ポイントについても賢明な分析が必要です。或る状況ではよくあるように思えることであるが、もし鳥か走ってしまったような場合は、全く犬の失策ばかりと言えないだろう。又もし、殊に烈風が吹きすさぶような日であった場合、彼は鳥の臭いを失い、過度に慎重になるかもしれない。しかし彼が何時も空ポイントをするような犬であったら、私達はその矯正に足を踏み出さなくてはならない。

 先ず第1に彼が鼻を地面にこすりつけ、ゲームの所在を足臭により突き止めようとするのを直さなくてはならない。ここで体臭と地臭の違いを説明することにしよう。地臭とは鳥が植物等との直接の接触により残した臭いです。これは鳥が実際に足で地面に触ったり、草を羽毛で擦ったりしたことに因るものです。体臭は鳥の体から発するものであり、鳥の上方の空気の流れに混ざっている。鳥から流れ出ると思われる体臭は50~60㎝空中に立ち昇り、気流の速度、湿気、気圧等に影響されて或る距離を漂って行く。或る日にはこの臭いは丁度煙のように地面に密着しながら横たわっている。あなたは煙が、或る時には地面に密着して拡り、或る時には殆んど真っ直ぐに立ち昇っているのを多分見たことがあると思うが、そこで犬がぶつからなければならない問題を理解出来るだろう。鳥猟犬がゲームの所在を指示するのに用いなければならないのは体臭です。ライオン追跡犬、キツネやアライグマの追跡犬は通常地臭を用いる。何時にせよあなたの犬が鼻を地面に擦りつけるように嗅いだり、空ポイントをしたりした場合は、彼に笛を短く二つ吹き、「オーライ」を命ずる。もし彼を動かすことが出来たら、仮に鳥がいるかもしれぬ場所を離れることになるとしても、そのまま走らせるようにする。彼に素速く頭を挙げて、ゲームに真直に進ませるようにさせる。暫くの間は鳥の上を通り越してしまうかもしれないが、地面を嗅ぎ回ったり、空ポイントをするよりはこの方が遙かに良い事です。

 今一つの方法は、何も言わず、何もしないで真直ぐに歩いてゆき、彼を完全に無視して歩き続けて行く事です。あなたがそんな事には何の興味もないのだということを、犬は間もなく悟るだろう。


ブリンキング

 ブリンキングとは犬が鳥を完全に避けて行くか、ポイントしても、あなたがゲームを翔たす前にそこを離れてしまうことを意味する。これは普通人為的な癖であり、時にゲームに対するブレイキング期間中、あまりに厳し過ぎたことに起因する。そして時にこれを直すのは大変困難です。これを直すのに私が発見した最も良い方法は、先ず第一に可能な限り彼にゲームを撃ち落してやることであり、その都度専ら彼を賞め報いてやることです。

 もし彼が全くポイントしないようであったら、チェックコードをつけ、他の犬のポイントしている所に連れて行き、バックさせる。助手に鳥を翔たせ鳥を彼のために撃ち落してやる。これをしながら正しく彼と留り、優しく話しかけてやる。もし彼が離れようとしたら「ノー」と命じ、元の所に犬を置くが、この際は如何なる方法にせよ罰してはいけない。もし君が他の犬や、助手を持っていない場合の今一つの方法は、彼が決断力を取り戻す迄放置する方法です。ポイントしている犬をハンドル出来るまで次第次第に近寄って行き、優しく話しかけ、鳥を撃ち落してやる。ブリンキングする傾向のある犬に近寄る際は、犬の囲りを広い円を画きながら犬に真正面に近寄って行く。このような、鳥に飛ばれるような近寄り方をした場合はむしろ、犬の後から近寄るより、犬が離れることが少いようです。


ボルティング(暴走)

 ボルティングは犬がしばらく狩った後、走り去りあなたの所に帰ることなく自分だけで狩る際に起る。これは又人為的であり彼に対してあまりに粗略な扱いをした結果によることがある。レンジがあまりに広すぎる犬に対して行なったと同じような手段が、この場合にも適用出来る。勿論犬が1㎞も彼方に行ってしまったら、彼を捕まえる機会はないが、先ず第一に為すべきことは、往々訓練期間中にゆがませられてしまった相互の信頼感を再度確立することです。

 彼が暴走したような場合は、通常犬があなたに対して怒った結果によるものです。もしあなたが彼を戻らせることが出来、彼の為にゲームを撃落してやったらば、彼はその後回復するだろう。彼の連絡に満足し、彼を適当な支配下におくことが出来るまで、暫くの間、或は彼に鎖をつけて働かせることが必要だろう。彼を幾分なりともあなたの言いなりになるようにしてみ給え。もし彼があなたから走り出して行こうとしたら、彼が未だあなたの支配下にある内に呼び戻して優しい言葉をかけてやる。これは決して難しい事ではない筈だ。もしこれがうまく行かなかったら、丁度この章の前の方で、レンジの広すぎる場合の項で既に記したと同じような方法で、電気首輪が適用出来るだろう。もしその首輪を用いることなしに、この欠点を直すことが出来たら尚結構なことです。この問題は根本的にはあなたを好く犬を作るということであり、彼があなたと一緒に猟を楽しむという事です。私は嘗てあらゆる点から素晴しいシューティングドックを持ったことがある。しかし、もし私なり誰かが、彼と一緒に猟をし、彼がポイントした鳥を2・3羽失敗すると、直ぐに主人を離れて走り、日暮れになるまで帰って来なかった。


ドロッピング(ポイントの際の伏せ)

 ドロッピングも又人為的な欠点です。今日では、これは非常に消極的だと考えられているが、正にその通りです。しかも皮肉にも、何年か以前には望ましい事と考えられていたのです。その頃においては殆んどの犬がゲームに対しドロップする(即ちゲームが翔ち、銃が発射された場合にドロップしている)ように訓練されたのです。英国においては今日でも尚、良い作法であると考えられている筈です。誠に結構な事です。しかし流行はここで変化している。今日の競技では、ポイントの際ドロップする犬は問題にならない。犬がドロップした際、これを矯正するには、注意深く再び立ち上らせ優しい言葉をかけてやる。助手にゲームを翔たせ鳥を撃ち落し、その間あなたは犬と共に留り、立派なポイントの姿勢のまま保たしめる。ゲームの射殺、優しい言葉、そして激励とが一緒になって、この欠点を直すのに正に適切な治療薬となるであろう。如何なる懲罰をも避けなければならない。


トレイリング(他犬の後追い)

 普通の猟ではトレイリングは殆んど問題にならないが、もしあなたが友人と一緒に猟をする機会に、あなたの犬が何時までも相手の犬の跡ばかり追っているとしたら、誠に不愉快な事に違いあるまい。これは親ゆずりの性質であると思われ、或る犬は他の犬より多くその傾向がある。もしあなたが彼の猟欲を適切に延ばしてやって来たとしたら、彼は後追い(トレイル)する傾向は先ず少ないだろう。しかし万一あなたの犬が後追いしたような時は「ウォー」を命じ、「ノー」を用いて、他犬と別な方向に犬を発走させるようにする。更に彼が後追いに固執するようなら「ウォー」を命じ、彼の処に行き、ムチで打ち、再び出走せしめる。これを彼が止める迄続ける。

 もしこれでも好結果が得られなかったら、電気首輪を用いる。暫くの間模造の首輪を用いて野外訓練を行なった後、本物の首輪をつけ、他の速い犬と一緒に走らせる。彼が他犬を目で見、或は臭いでマークし、他犬の約5m内外にいるような時は、その瞬間にスイッチを押す。但し一言も蝶ってはいけない。彼が他犬を避けるのを悟る迄、これをその都度繰返しなさい。


闘争癖

 闘争癖は鳥猟犬が持ち得る最も不作法な性質の一つであり、他の如何なる不作法もそうであるように、あらゆる機会に矯正されなければならない。これは主として遺伝的なものであるけれども、彼の発育期間の内に徐々にしみ込んで来ることもある。もし彼が他犬と一緒に飼育せられ、犬舎の中で支配者となることが許されて来た場合、彼は多分極端なケンカ好きになって行くだろう。これを直すには「ノー」の命令語を用い、もし必要ならムチを用いる。自分の犬がケンカ好きであり、意地の悪いことを大変誇りに思っているように思える人を見ることがある。それはそれで結構であるが、世の中には常に尊大な犬に出会う機会があり、次には、とてつもない闘争性の犬に出会うだろうし、そんな場合にはシューティングドックとしては第一巻の終りとなるだろう。私はかつて、全く不必要な犬舎内の闘争で素晴しい若犬を亡くしたことがある。私はこの卑劣な事をした罪犬を永い間許すことが出来なかった。


ゲーム以外のものをポイントする癖

 いくつかの犬はゲーム鳥とは異った、他の生物をポイントすることがある。私はかつて泥ガメから始って、キツネ迄ポイントする犬を持ったことがある。しかし私はこれを一般的な問題として提出することはしない。確かに殆んどの場合、犬はそれを故意にやっているのではない。いろいろなゲーム動物の如何なるものが犬に好ましく嗅がれるか私共は知らないし、或る一つのものを他のものと、如何にして区別するようになっているのかも、又知られていない性能です。例えば、もしあなたの犬が、いつまでも兎にポイントするようであったなら「ノー」を命じ、ポイントを解かせ給え。もし彼が尚固執するようなら控え目にムチを用いる。

 この章ではあなたが出会うであろうと思われる極く普通の癖を述べた。勿論このほかにもあまり頻繁でない癖もある。然し愛情と優しい懲罰と、常識との、正しい組合せでもって解決出来ないどんな問題にも出会うことはない筈です。

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