生まれてきた仔には罪はないですが。
雑種は純血の継承への冒涜なのかも。最近そう思います。
イングリッシュポインターの中でも様々な犬舎があり、それぞれで特色のある系統が作られています。その中でも歴史のある犬舎は、起ち上げて数10年にも及び、血統的に閉ざされた犬舎内で、何世代も近親交配(インブリード)・系統繁殖(ラインブリード)を繰り返して、純血種と言われる独自の遺伝子プールを持つ血統を作り出しています。
ラインブリードは、良いものも悪いものも極端に出るために、良い性能は陽性遺伝として強化しやすく、悪いものは陰性遺伝として薄めることができます。
近親交配の選択繁殖を繰り返し、遺伝子プールが安定してくると、その子達は姿かたちが同じ様になり、性格的にも同じような特性が出現するようになります。要は安定した生産をすることができるということです。
犬舎内で、繁殖を繰り返して純血種を創る目的は、奇形を排除することで遺伝子を浄化し、好ましい特性を強化する。そして、その犬種を遺産として継承させていくことが目的です。
反対に、それら別系統をかけ合わせて一代雑種(F1)を専門に作る犬舎も多いし、国内ではこのような犬舎の方が多いのが現状です。国内では繁殖に関する知識を学ぶ機会もないし、猟犬に関しての民度も低いので仕方がないのですが、フィールドトライアルで良い結果を残したとか、分譲先での活躍が好評であったなどの理由で純血の血統などは無視して繁殖をしてしまします。
F1を作っても、殆どの場合その特質は2~3代で薄まってしまいます。その後は、そのF1の親以下の特質に戻ってしまうようです。イングリッシュポインターの中でも系統をかけ合わせてしまえば、雑種が生まれるということです。
そう言った意味で、日本で入手できる純血種は、ほぼ居ないのが現状のようです。
系統繁殖の話しに戻りましょう。
一般にラインブリード・インブリードを繰り返すと、遺伝病の発生率の増加、バカ等の奇形が生まれやすいと言われていますが、その根拠は全く科学的に証明されていません。
イングリッシュ・ポインターでこのラインブリードを用いて成功したのは、米国のエルフューポインターです。創始者のRobert G.Wehleは極端なインブリードとラインブリードの繰り返しの末に米国のFTで何度も殿堂入りするポインタを作り出しています。安定した性能を生産することができるラインブリードですから、エルフュー犬舎のポインタはすべてが殿堂入りの性能を素質として持っていると考えて良いわけです。
純血種をブリーディングする。(遺伝子プールを強化する)ことは、自分の描く目標(スタンダード)に対してとても冷酷になる必要があります。犬種の長い歴史の中の一分を担う継承者の自覚が必要です。微々たる奇形に対しても敏感に反応して選択処分する覚悟を求められます。Robert G.Wehleはその著書の中で、悲しい別れには血の滲むような苦労と努力が必要だったと言われています。
確かにF1雑種は高性能ですがそれまでです。
その性能は、過去のブリーダーが血の滲むような苦労の末に継承してきた実績あってのことです。F1同士をかけ合わせても、殆どの場合は性能の低下はもちろん、優性遺伝の影に潜んでいた遺伝病の発現も免れないので、その犬種全体の弱体化に繋がります。数十年かけて確立した性能も、乱繁殖の結果、数年で壊れてします。雑種は純血の継承への冒涜といっても過言ではないでしょう。
昭和40年代は、狩猟ブームと共にフィールド系のポインタセタを飼育することがステイタスでした。日本は英国米国に次ぐフィールドトライアル王国でした、そして世界に通用する日本独自の純血種の構想も風化してしまいました。結局、世界に通用する鳥猟犬の排出には至りませんでした。
全猟会員もかつては数万人規模でしたが、今は1500人を切り、月刊誌全猟も各月に縮小です。既に猟犬を訓練できる人も少ないし、使役する人もいなくなりました。
次の10年を考えると、性能の良いポインタを手にするのはとても難しい気がします。
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