HAMAKAZE jj: 第6章 銃声馴致

2018年12月9日日曜日

第6章 銃声馴致


 私達は今や、かつての幼犬と共に可成りの進歩をして来ました。この段階において、若し彼が良く進歩して来ているならば、相当高度の智脳を持ち、良く狩りをし、既に銃声に対する準備が出来ているのです。

 彼の素質はいろいろな種類があるにしても、未だ傷つけられていない筈です。彼は大胆であるべきであり、あなたと狩りとを愛しているべきです。彼はもはや単なる仔犬ではなく、猟に対していろいろな態度を示し、あなたやあなたの命令に対して大変な期待を持っている。他の言葉で言えば、彼は今やすべてが職務なのです。



 家庭訓練や猟野訓練の両方において今迄続けて来たように彼を働かせ、一方、猟野訓練には22口径のブランクガン(空砲ピストル)を持って行く。猟野訓練において、彼を銃に馴らす最初の機会はポイント時であり、優しく言葉をかけ、彼を擦ってやり出来る限り不動のまま留まらせる。その後鳥を翔たせ、或は彼に翔たせ、犬が鳥のあとを力いっぱい追い、約15mあなたから離れた頃ブランクガンを鳴らす。犬にとって余り高く響かぬように犬と反対の方向に向けて鳴らす。多分彼は一向それに気をとられず、鳥を追うだろう。これなら良い。或は銃声を聞いて立ち止まり、何だろうと振り向くかも知れない。若しそんな時は、知らぬ振りをして狩を続けて下さい。次に犬が鳥を翔たせ、それを追ったならば、更に遠く追わせてから発砲します。若し犬が第一の発砲で真直ぐあなたの処に戻って来て大変驚いた様子をしている場合は、これは問題だ。こんな時は決して彼の頭上で発砲してはならない。

 このような時、次に何をしたら良いかは「悪癖の矯正」の章があなたに或る暗示を与えて呉れるだろう。若し犬が最初の発砲の際普通の反応を示したのなら、次にゲームに当たる毎に、次第に近付いて発砲をするようにする。間もなく銃声をゲームと一緒に考え、結局は銃を好むようになるだろう。これを何回も行った後に、如何なる場所で発砲しても犬が何等気にしなくなったならば、彼は猟銃への準備が出来た事になる。犬を銃声に馴らす最も重要な事は、彼が鳥を追うのに心を奪われている場合を除いては、決して犬の近くで発砲してはならない事です。

 新しい犬の所有者は、しばしば仔犬がガンシャイではないかと心配して、猟銃を持って戸外に連れ出し、仔犬が鳥に夢中になっていない時でさえ犬の頭上で発砲する。若しこの犬がガンシャイではなかったとしても、それ以後は確実にガンシャイとなるだろう。従って犬が鳥に当たっている時以外には、決して犬の方向に向け発砲してはならない。これはどの年齢の犬にも適用出来る。犬の耳は私達の耳よりずっと感度が高いもので、高い空砲の音は彼等に苦痛を与えるのです。

 猟銃の場合は410番口径か20番口径の何れかで、反動防止器の無い銃で始めるのが望ましい。この場合も、彼の為に鳥を撃ち落してやる事以外は最初のブランクガンの発砲の時と同じ事です。その場合周囲の事情も正しく適していなければならない。犬はポイントをしている。そこで同じく優しい言葉をかけ彼をなでてやる。たとえ彼に短い綱をつけても良いから、出来るならこれに数分間を費やすが良い。その後尚彼が立ち止まっているようなら、彼の為に鳥を翔たせ、或は彼自身で翔たせる。彼があなたから15m程離れ、鳥の真下か直ぐ後を追っている時、鳥を撃ち落す。そして犬を落ちた鳥の処に誘導し、若し彼がそれをくわえたら自分の処に呼び、優しい言葉をかけ、大喜びをしてあげる。犬が好きなだけ鳥をかき裂くのを許してやりましょう。

 若し彼が鳥をくわえてあなたの処へ来ない場合は、彼の所へ行って頭をなでてやる。若し彼が鳥の頭を食べようとするならこれは良い。この様な犬は猟欲が強いから、将来いい犬になると考えてほめてやる。若しあなたの犬か鳥をくわえたままなら、静かにとりあげて、決して彼を叱ってはいけない。

 この時以後はあなたは出来る限りたくさんの鳥を撃ち落してやりなさい。しかし彼がポイントし、あなたが到着する迄ポイントを維持していた時だけ鳥を撃つ様にし、決してあなたの踏み出しで翔った偶然の鳥や、あなたが到達する前に彼がフラッシュした鳥を撃ってはならない。あなたが鳥を翔たせる間、出来る限り犬にポイントの位置を守らせるようにします。若しこの仕事を続けたら、彼は鳥が欲しい場合はポイントし、あなたが到着するのを待った方が良いのを学ぶだろう。これが注意深く出来たら、彼のゲームに対する訓練を更に容易にし、鳥をフラッシュさせたり、蹴出したりするような事が少なくなるだろう。若し出来得れば、彼の訓練を更に進める前に、20羽から30羽のゲームをこの方法で撃ち落してやりなさい。

 小口径の銃を何度も用い、彼が銃に対し何等のシャイも現さなくなった場合、若しあなたがそれを望むなら12番口径の銃を用いても安全だろう。

 若し彼がなすなら鳥を運ばせ給え。多くの犬は落ちた鳥に走って行き、ほんの少し口にした後くわえ上げる。若しあなたが彼を呼び寄せ、大喜びしてやり頭を与えたりすれば、彼はたやすく、すべてのゲームをあなたの為に運ぶようになるだろう。若しこの銃を持ったプログラムが注意深く行われるならば、あなたはガンシャイに対して何等難しい事は無い事を保証する。

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