HAMAKAZE jj: 万能猟犬と鳥猟犬。

2019年10月1日火曜日

万能猟犬と鳥猟犬。

鳥猟犬と猟をすれば、雉が簡単に獲れると思うのは間違いです。


僕も最初は万能猟犬が欲しかった。

雉の個体数が多くて一日に何度も出会いがある地方は別として、ここ静岡の可猟区では
鳥に出会うチャンスは、一日中歩いても1度か2度程度です。

鳥も見れない、何も獲れない。
普通にあります。


ポインターなどの指示犬は、経験を積んで雉に強くならなくては、ポイントしてハンターの到着まで鳥を抑えることも出来ないですし、鳥の匂いを感じて接近しても、直線的に寄り付いてしまうと雉に飛ばれてしまいますw

散弾銃の射程はとても短くて40m程度。

射程外で蹴り出してしまうようなワンコでは勝負にならないし、とても鳥猟には連れていけないのです。
ワンコが未熟で、眼の前で折角のチャンスが無駄になってしまうことが何度かあります。

そこで叱りつけたら、恐らくワンコは猟をやらなくなってしまうし、そもそも自分の訓練技術の無さが見えただけのことなので、腹を立てても仕方がないのです。

ハンターは、乱場で鳥に出会う貴重なチャンスをモノにするために、日々訓練してると言っても良いのです。


そう!乱場で、鳥に出会うチャンスは一日中歩いても1度か2度なんですw

僕も最初の頃に先輩のワンコとに同行して必ず思ったのは、飛んで来る鳩とか逃げてくタヌキを撃ってはイケナイのか?ってことです。

聞けば撃って良いと言うと思うけど、装薬銃は大きな音がするので撃ちどころに気を使う。

猟犬の頭の上でいきなり発砲したらガンシャイになる可能性だってあるし…

雉の猟場にいるウサギなども撃てたら猟果は倍増するとか、この犬がそれらも追い出して撃たせてくれる万能猟犬だったら良いのに…

そのような事をよく考えてました。



どうせ所有するなら万能犬。

猟犬には色々な種類の犬種がいますが、その全ては何らかのスペシャリストです。
人が手を加えて、作出の段階からその用に作ってあるので、本能の発現作用から得意分野がおのずと決まっているのです。

だから、万能犬として猪も鳥も獲りたくて使役するのは、そもそも無理があるのですが、猟犬の中には汎用性に優れるのもいるようです。

有名なのはドイツポインターやブリタニースパニエル、そしてビーグルです。


ビーグルを使ったウサギ猟

身近な犬としてビーグルが万能性に優れていて、訓練次第で鳥猟全般に十分に使えるし猪や鹿を獲る人も居ます。
何より胴長短足で顔もかわいい、それでいて人懐こいし頭も良いからからペットとしても大人気。

しかし、本来はウサギ猟のスペシャリストです。

ウサギ猟は面白いです。ビーグルをパックで使うと面白さ倍増。
まず、ウサギの糞や足跡などからある程度の付き場を予測して、見通しのきかない深い藪の中を、昨夜残したウサギの残臭に乗せて寝屋を襲わせます。

犬は、匂いを取ると香り鳴きをしながらウサギを起こして追跡します。
ビーグルは足が遅いので、ウサギも全力で逃げることはせずに、山の中で大きな8の字を描いて、様々なトリックを使い、ビーグルをスカしたりやり過ごしたりして逃げます。

ハンターは寝屋付近にタツマを張って、ウサギが回帰してきたところを射ち獲るのです。ウサギに巻かれてビーグルが帰ってきたらそのゲームは終わり。
犬の負けです。



ビーグルで五目猟はどうなのか?

呼びを徹底して、捜索レンジを狭く仕立てて、雉やコジュケイヤマドリに使うようです。
ウサギ以外にもたぬきや猪なども起こしてくれるので、やっぱり面白いです。

そんな鳥猟も獣猟もできるビーグルの実際ですが、肝心なウサギ猟で、ウサギ猟専門に仕込んだビーグルに比べたら、ゲームの起こしや追跡が中途半端になってしまうらしく、比較にならないほどお粗末な猟芸に収まるようです。

猪猟に使ったらどうかとすれば、足が遅い分、追われた猪は全力で走られることもなくトコトコ出てくるのでとても撃ちやすい。

では、鳥猟専門に仕込んだらどうか?
鳥は突っ込むだけで立たせることができるので簡単です。
雉や小綬鶏ぐらいなら満足に出せるので、捜索レンジの調整が上手くいけば困ることはないようです。



和犬も万能猟犬。

ポイントしない犬を猟に使う場合の条件は、足が遅いことと捜索レンジが狭く、呼びが徹底していることです。

実際、これが出来てればペットでもOK。
鳥猟も獣猟も同じです。

オススメは和犬。

犬の原種に近いので、犬犬しくて獣臭には敏感です。
実猟系の甲斐犬なら、仕込み無しでこんな感じなので最適です。

ポイントしないけど、山岳のヤマドリ猟で沢下りに持ち込んでくれれば、射程内に収めることもできる。

ハンターからあまり離れずに足元で仕事をしてくれる芝犬も、山鳥を見るチャンスに恵まれるのでおすすめです。

やはり、鳥をやるなら鳥専用に、獣をやるなら獣専用に訓練することが必要です。


結局、スペシャリストとして仕込むのが効果的


先に出したドイツポインターやブリタニースパニエルは、本場に行けば鳥にもウサギにも強い犬がいるのは事実です。

欧州のウサギ猟は平原で行うので、鳥猟と同じやり方です。
つまり、平原に潜んでいるウサギをポイントさせて、主人の到着を待つ。
主人は犬に追い出しを命じて、飛び出したところをハンターが撃ち獲る。
鳥猟となんら変わりはありません。

日本のウサギは藪の深いところに寝屋を設けるので、そこに犬をポイントさせて獲るにはとても難しい。見通しが悪くて撃てる出会いはそれほど期待できないからです。

猟犬は、基本的に犬種によって鳥猟を得意とするものと、獣猟を得意とするものに分かれています。

やはり、その両方を得意とするのは稀であると言われていますから、作者の意図に沿ったスペシャリストとしての使役の仕方が簡単だし、その性能を発揮できるようです。
中途半端はそれなりの結果しか出さないのが通説です。

猪の巻狩で使うなら、ポインターだって役に立つのは事実ですw


ミートとクラス

鳥猟犬の嗜好は人それぞれですが

僕はスピードがあり連絡性能が高く、鳥の扱いは慎重。
そんなワンコが好きです。

牧草地の縁を白いイナズマが全力で走ってきて、急な鳥臭に急停止!
ハンターはゆっくり時間をかけて近付く、合図と同時にワンコはそこから慎重に鳥との間合いを詰めて、ピタリと抑え込む。

犬の全身が硬直して、空気が変わるような緊張感。
覇気を発するポイント。

猟場でそんなシーンに出会うと、これを見たくて鳥猟しているんだって思います。



あまり好きな言葉ではないですが、鳥猟犬でFTを楽しんでいると、ミートドック・クラスドックという言葉をよく聞きます。

クラスドックとは

抽象的ですが、鳥を獲れるのはもちろんなこと、人を魅了する秀でてる性能を持っている犬のことを指します。

それは、早熟さやスピード、素晴らしい猟欲を持っている犬にも使いますが、主にギャラリーを魅了するランニングスタイルとバードセンス、柔軟なグランドレスポンスなど、バランスが取れてて鳥猟犬の理想とされる優秀な犬のことです。

例えば、スピードがあっても嗅覚を超えての疾走はクラスでないし、訳もなく一度捜索したところをもう一度捜索するのもクラスではありません。

同じスピードを出せる犬が2頭いたとして、同じところを捜索するにも、地形に合わせた緩急適切なスピードで、効率よく捜索をするのがクラスで、ずっとトップスピードで走り続ける犬はクラスではありません。

ミートドックとは

肉を生産するだけの犬を指します。
例えば、指示犬であっても、散弾銃の射程距離から出ることがなく、全くスピードがない捜索をする犬は、鳥を蹴り出すこともなく確実に鳥を獲らせます。

しかし、広範囲をスピーディーに効率よく捜索し、その走る姿の美しさやスピード、知性や捜索のセンス、猟芸を楽しむために生まれてきた鳥猟犬としては、全く面白みがない残念な犬となります。


by カエレバ




ポチッとしてくれると励みになります




0 件のコメント:

コメントを投稿

adsense

!!